2008年08月27日

野球の国のアリス/北村薫 ★★★☆☆


野球が大好きな少女アリス。
彼女は、ただ野球を見て応援するだけではなく、少年野球チーム「ジャガーズ」の頼れるピッチャー、つまりエースだった。
桜の花が満開となったある日のこと。
半年前、野球の物語を書くために「ジャガーズ」を取材しに来た小説家が、アリスに偶然再会する。
アリスは小学校卒業と同時に野球をやめてしまったようだ。
しかしアリスは、顔を輝かせながら、不思議な話を語りはじめた。「作日までわたし、おかしなところで投げていたんですよ。」(「BOOK」データベースより)


<・・・投げられるから、しあわせ>

ひょんなことから、鏡の世界へ入り込んでしまったアリス。
そこでは、新聞の字が逆だったり、右利きが左利きになっちゃったりするんだけど、アリスにとって一番の問題は、負けたチーム同士で試合をし、テレビ中継でエラーやミスを笑いものにするという悪趣味なイベントが行われていること。
野球を心から愛するアリスは立ち上がるのだが・・・。

アリスがとてもしっかりした女の子なんですよね。
ある失敗をするんですが、落ち込むよりも周りに迷惑をかけたことを反省したり、自分が逃げ出したらもう1人のアリスに迷惑がかかるのを気にしたり・・・。
お母さんも良い味出してるんですよね。
アリスとの接し方は、ほっこりと温かい気持ちになります。

アリスの成長や友情や恋愛(?)を絡めたストーリーはもちろん、読後感も爽やかでなかなか楽しめました。
セクハラ五堂の「ほれろよ」に、ニヤリ。
posted by めみ at 00:01| Comment(2) | ミステリーランド

2007年10月17日

ぐるぐる猿と歌う鳥/加納朋子 ★★★☆☆


五年生に進級する春、森は父親の転勤で東京から北九州へ転校することになった。
わんぱくで怪我は絶えないし、物は壊すし、友だちは泣かせるしで、いじめっ子の乱暴者というレッテルをはられていた森の転校を聞いても、先生どころかクラスメイトのほとんど誰も残念がってはくれなかった。
そんな森だったが、引越し先の社宅の子どもたち―ココちゃん、あや、竹本兄弟、パックとは不思議に気があった。
彼らは森をまるごと受け入れてくれた。しかし森は次第に感じていた。
この社宅には何か秘密がある。もしくは謎が…。(e-hon商品の内容より)


<まるで大型台風みたいな嫌われっぷりだ>

加納作品は『ななつのこ』『ガラスの麒麟』『螺旋階段のアリス』を読んだことがあります。
が、北村薫作品(まだ覆面作家だった頃?)と、内容が混乱気味。
雰囲気が似てるように感じるのですよね。

さて感想。
森の父親の性格からして、これは結構シビアなストーリーになるのでは?という予感がありましたが、想像以上でした。
『子どもの王様』と同じくらいの生々しさかも。

全体的にストーリーが散漫としている印象がありますが、子供たちの復讐は面白かったし、ラストのサプライズにはびっくり!
読んでいる間はそうでもなかったけれど、読後はとても懐かしいような微笑ましい気分になりました。
真相に触れています。
posted by めみ at 22:44| Comment(2) | ミステリーランド

2007年06月16日

酸素は鏡に映らない/上遠野浩平 ☆☆☆☆☆


ちょっと寂しい姉弟と、ヒーローくずれの男が巡り会い“ゴーシュ”の秘宝を探し求めて不思議な冒険をする。
これは鏡に映った姿のように、あるけれどもなくて、ないけれどもある、どうでもいいけど大切ななにかについての物語です。
あなたは、鏡をどういう風に見ていますか? (出版社による内容紹介より)


とてもメッセージ性の強い作品。
でも、この物語世界には全く引き込まれなかった。
キャラもストーリーも、何一つ魅力的に思えず、最後までパラパラとページを捲るのみでした。
こんな掴みどころのない小説は久しぶりかも。

それもそのはず、他のシリーズが未読だと楽しめないといいますか、特に終盤の展開がさっぱり理解できません。
「あ、これは著者のファンしか対象にしてないんだな」と気付いた瞬間、脱力。
この著者の作品が初めての私は大いに不満でした。
ミステリーランドなんだし、せめて綾辻さんのような配慮が欲しかったです。

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たかじょう > あ〜、やっぱりそうなのですね。どうも他作品とのリンクが強いらしいということだったので、手を出しかねていましたが。疎外感を感じるくらいなら、読まなくてもいいかなぁ。 (2007/06/16 17:35)
めみ > たかじょうさん、そうなんです!著者には確固たる信念や世界観があるのかもしれませんが、それを初の読者に押し付けられても迷惑なだけです。私はミステリーランドの全制覇を狙っているので読みましたが、それが目的でなければ手を出さない方が正解だと思います。本当に不親切なのですよ! (2007/06/16 18:30)
posted by めみ at 23:08| ミステリーランド

2007年01月25日

ステーションの奥の奥/山口雅也 ★★★☆☆


小学6年生の陽太は、同居しているオタク風の叔父・夜之介の影響で、ミステリや怪奇小説が大好き。
「将来の夢」という作文で「吸血鬼になりたい」と書いてしまい、学校でカウンセリングを受けることに。
カウンセリングを何とかクリアし事を丸く治めた後、2人は夏休みの自由研究のために、
取り壊し寸前の東京駅の取材に出かける。
そこで殺人事件に巻き込まれ、おまけに夜之介が失踪してしまった!
陽太はガールフレンドで将来は名探偵志望の留美花と一緒に、事件の真相を推理するのだが・・・。


ミステリーランド第11回配本。

山口さんの作品で既読なのは『ミステリーズ』のみ。
この作品、本格ミステリファンには非常に厳しい評価を受けているので、
あまり期待しないで読みました。

文章は「子供は理解できるのかな?」と思う箇所がいくつか。
最近の少年犯罪傾向を匂わせる記述にはドキッとしました。

東京駅が舞台なんですよね。
私にはあまり馴染みのない場所なので、延々説明されても全く想像できないのです。
身近な場所に隠された部分がある、というワクワク感が重要なのでしょうが・・・。
事件が起こるまでがひたすら退屈に感じました。

「死体の切断理由」と「密室トリック」の2つが主な謎で、
陽太と留美花が一生懸命論理的な推理を展開するのですが甘い甘い。
終盤で「バカミス」やら「脱力系トリック」とか言われている理由が判明。
私は「あはははは〜!」と声に出して笑っちゃいました。
ミステリとしてはさすがにどうかと思うけれど、こういうの結構好き。
いいんじゃないですか?

あとがきの「わたしが子どもだったころ」を読んで、陽太と夜之介の関係をより微笑ましく感じました。

『親族の中で、勉強以外の面白本を紹介してくれるような人物を探すとしたら、おじさんあたりが適役なのではないかと思っている。おじさんは、親とほぼ同じ経験を積んでいる大人だが、自分の子供でない甥や姪に対しては、「教育」を押し付ける義務がない。
だから、よい意味で無責任に「面白いもの」を惜しみなく与えてくれる場合が多々あるのだ。』


もちろん、おじさんもその子の親に叱られるリスクがあるのですが。

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ときわ姫 > バカミス、脱力系は私もけっこう好き!そのつもりで読めばいいので、読んでみようと思います。 (2007/01/25 15:22)
たかじょう > まさにいま、読んでいる最中です!確かに、駅内部の様子とかさっぱりわからず、退屈気味でした。そうなんですか、バカミス系なんですね〜。いま中盤ですが、力を抜いて読もうと思います。 (2007/01/25 17:58)
めみ > ときわ姫さん、途中からジャンルが別物になっちゃうのですよ。評価の低さも納得なのですが、これはもうミステリーランドだからと諦めるしかありません(笑)。お時間のあるときにザッと読むのが良いかと思われます。 (2007/01/26 15:17)
めみ > たかじょうさん、私も中盤のあまりの退屈さに、結末もどうでもいいや〜と思いながら読んでいたので、この真相につい笑ってしまったのですよ。バカミス系だと知らずに読むと怒り出したかもしれません。ここはひとつ、寛大な心で(笑)。 (2007/01/26 15:18)
posted by めみ at 22:25| ミステリーランド

2006年03月27日

鬼神伝/高田崇史 ★★★☆☆


ミステリーランドは肩の力を抜いて読むせいか、これも予想以上に楽しめました。

例外はあれども、「読者対象は子ども」を前提とした作品が多いミステリーランド。
本書も、普通に鬼を退治してハッピーエンド、な作品だと思っていたのですが、もう少し奥が深かったようです。

「鬼は悪者とは限らない」という視点でのアプローチは、子どもにはとても新鮮ではないでしょうか。
実際の話と教科書等で読むことの違いについての純の質問に、
「戦に勝ったものだけが言葉を残せる」
「誰でも、自分たちのしてきた悪いことや恥ずかしいことなど、後世に残そうとしやしない」
との海神の言葉。
「歴史教科書問題」がふと頭をよぎりました。
このあたり、子どもが読んだ感想がぜひ知りたいです。

普通の中学生が実はヒーローだった、という設定も良いですね。
純がオロチを操って戦う姿も、とてもワクワクしました。
(何となく「まんが日本昔話」のオープニングをイメージしながら。)
1冊目では殺人の謎、2冊目ではスパイ探し、など小ネタも楽しめました。
ラストは少しバタバタしてましたが、私好みの救いがあります。

しかし、私は1冊目を格闘シーンに使うも、2冊目は和解するという流れになると勝手に思っていました。
純も最初は「話し合い」を主張してたのに、いつの間にかそんな葛藤はどこへやら。
あっさりしてるなぁ・・・。
あと不満なのは、私の好きな「友情」がテーマでは無かったこと。
頼光・・・登場シーンから友情を予感したのに・・・。
その割には、純と水葉のシーンが多すぎる気が。

あとがきの暗号は面白いです。
『黄金蝶ひとり』の暗号より分かりやすいし、よくこんな手間をかけたなぁ。
目次もヒネってますね。
こういう試みは大好きです。

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たかじょう > 読まれましたか〜。わたしもこれは後回しにしていました(笑)。めみさんはこれが初・高田さんでしょうか?“鬼”については『QED』でもたびたび書かれていたので同じような解釈でしょうね。戦闘もあるのですか!なかなか好印象だったようなので余裕ができたら早めに手にとりることにします♪ (2006/03/28 12:32)
めみ > たかじょうさん、ミステリーランドも新作が出たことですし、全制覇せねば!とメラメラ燃えまして(笑)。高田さんの長編はこれが初めてなのですよ〜。子ども向けなので歴史に疎い私にはぴったりだったのですが、高田作品を読み慣れてらっしゃるたかじょうさんには、かなり子ども騙しかと(笑)。そこは温かい目で。本書で弾みがついたので今年こそは『QED』に挑戦します! (2006/03/28 20:00)
ときわ姫 > 私はこれを読んでいたとき、だんだん不愉快になってむかむかしてきました。なんでこうまで純を戦わせようとするのかと。決して妥協することのない戦いを、子供に教えてどうするのか疑問が残りました。この戦い、どちらかが全滅するまで終わりませんよね。 (2006/03/30 16:52)
めみ > ときわ姫さんの日記を拝見しました。私はそこまで踏み込んで考えてませんでした〜(汗)。でも、「流されやすい純」に同感です。確かに不毛な戦いですが、純の意思で戦うなら、まだ納得できるのですよね。人間側も分かりやすく「悪」として描かれていますし。それなのに、純が鬼と出会ってからは人間側と接することも無く、周りに煽られて戦ってるし。「戦わずにすむ方法」を考えようともしないし。ラストは「これでお前は一人前の人間だ」みたいな展開になりますが、そのまま現代に帰っちゃうし。著者は「鬼の意外性」だけを伝えたかったのかな・・・。 (2006/03/30 22:20)
posted by めみ at 17:24| ミステリーランド

2005年09月21日

ラインの虜囚/田中芳樹 ★★★☆☆


ミステリーランドです。
今のところ、未読は高田崇史さんのみ。

外国が舞台で、かつ歴史が絡んでくる作品は久しぶりだったのですが、子供向けだったことが幸いして、かなり楽しめました。
(イラストが綺麗なのも助かった!)
ただ、世界史は苦手ではないのですが、かなり疎いです。
作中で語られる薀蓄では、そのつど高校の授業まで記憶を遡る作業が必要でした。
「メッテルニヒ」なんて、いたいた!とちょっと嬉しくなったり。そんなレベルなのです。
ここで、ちょっとは歴史小説も読まないとまずい、との危機感が。

剣士と海賊と作家、そしてパリへやってきた女の子。
三人の年長者がコリンヌを見る目に温かさを感じます。
「大人だから」を言い訳に、度々どぎまぎする彼らが、とっても可愛らしい。
子どもに対しての「素敵な大人」、私たち大人に対しての「子どもへの接し方」が、しっかり描かれていると感じました。

気になった点は、彼らとの最初の出会いから旅の出発に至るまでが、トントン拍子だったので、途中がちょっと間延びしたような気がしました。
もう少し、敵の攻撃方法に工夫が欲しかったかな。
それでも、海賊王のラフィットや剣士のモントラシェが戦う場面は、ナイフや剣の動きがとても細かく描かれているので、想像すると結構ハラハラします。

最後は、爽やかだけれど、しんみりとした余韻が残ります。
もう少し、彼らの冒険を読んでみたい気持ちになりました。
ミステリーランドの大半の作品が、「小学生の夏休みの出来事」の設定が多い中、とても新鮮で大満足でした。

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たかじょう > めみさんこんにちは!「ラインの虜囚」軒並み高評価ですね〜。そういえば田中さんは「創竜伝」を読んでいました。これも軽く十数年前。
最近ミステリーランド読んでないから読んでみようかな。なにしろ開始当時から待ってる作家さんが出してくれないんだもん。綾辻さんに京極さんに。。。あと遅筆の作家さんしか残ってないですよね〜。二階堂さんがそろそろ出そうらしいですが。最初の刊行ペースはどこへやらですね。 (2005/09/21 13:48)
めみ > たかじょうさん、こんにちは♪田中さんは「銀河英雄伝説」のアニメをチラ見したことが。それも約十年前(笑)。この作品、ミステリではないのですが、良かったですよ〜。久しぶりの白だったので、余計に。
私としては、井上夢人さんを待ち望んでいるのです〜。岡嶋二人時代からの大ファンでして。でも、ド遅筆なので、まだまだでしょうねぇ。綾辻さんや京極さん、一体どんなお話になるんでしょう?なんだか黒っぽい予感がしますよ〜。でも期待大♪ (2005/09/21 15:24)

ときわ姫 > 私は黒のミステリーランド代表の「神様ゲーム」と続けて読んだので、この「白さ」を際立って感じました。ちょっとうまく行き過ぎも、許せてしまいました。 (2005/09/21 17:24)
めみ > ときわ姫さん、こんにちは!「神様ゲーム」で黒くなった心を、漂白してくれる作品でしたね。ミステリーランドの、このアメとムチ加減が好きなのです。とても雰囲気が良かったので、次は「三銃士」を読んでみようかな〜。 (2005/09/21 18:41)
まゆ > これは正統派の冒険小説という感じで、読んでいて心地よかったです。それにしても、ミステリーランド、刊行ペース遅いですよね。最初はドカドカ出てたのに・・・。 (2005/09/21 19:30)

めみ > まゆさん、こんばんは!ほんと正統派でしたねぇ。安心して読める作品でした♪ミステリーランド、最初の頃は3冊ずつ刊行してたハズなのに。最近、なぜか小出しになっちゃって。恩田さんもまだですもんね。楽しみにしてるのに〜。 (2005/09/21 20:25)
posted by めみ at 15:19| ミステリーランド