2007年09月12日

片耳うさぎ/大崎梢 ★★★☆☆


父の事業の失敗により、実家に引っ越すことになった小学6年生の蔵波奈都(なつ)。
しかし、実家の幽霊屋敷のような雰囲気と、従兄の一基以外の親類に快く思われていないこともあり、奈都は馴染めないでいた。
そんなある日、母親が用事で週末まで戻らないことになり、肩身の狭い中たった1人で4日間を過ごさないといけないことに。
悩む奈都の前に現れた、さゆりさん。
彼女は古い屋敷に興味があり、泊まらせてほしいと頼んできたのだ。
屋敷の探検中、屋根裏で出会った怪しい人物。
その後、部屋には「片耳うさぎ」のぬいぐるみが・・・。


<あっちもこっちも謎だらけだけど、私、思うのよ。これら全部がすべてきれいにつながる瞬間があるんじゃないかって。>

著者初のシリーズ外長編作品。

旧家にまつわる言い伝えがやけにブラックなだけで、全体的にはほのぼのとしたミステリ。
でも、伏線の張り方には「おっ」と思わせられました。

積極的なさゆりにどんどん引っ張られていく奈都が可愛い。
奈都の5年前の記憶が明らかになることで、70年以上前の事件の真相が浮かび上がるという流れも良かったです。

最初は展開がゆっくりですが、サクッと読めるし、読後感は良いし、なかなか楽しめました。
真相に触れています。
posted by めみ at 19:32| 大崎梢

2007年06月16日

サイン会はいかが?成風堂書店事件メモ/大崎梢 ★★★☆☆


面白かったです。
著者はこういう日常の謎系ミステリの方が合っていますね。
一作目と同じく、書店の裏情報がたっぷり。
書籍の帯が邪魔で取ってしまったり(応募券が付いてないかちゃんとチェックしたり)、書店員が客に渡すのが申し訳なく思うような販促物もある、とのくだりでは笑ってしまいました。


「取り寄せトラップ」謎は魅力的でしたが、どう考えても多絵ちゃんの推理は無理があります。
「君と語る永遠」思わぬ感動ストーリーでした。少年の奇妙な行動の意味が解った時、じわ〜っときました。
「バイト金森くんの告白」この多絵ちゃんの推理が一番納得できました。
「サイン会はいかが?」一番ミステリっぽいですが、それ以上に人の感情が見事に描かれていました。現実的で怖い事件なのに、ラストは前向きになれるという不思議な作品。
「ヤギさんの忘れもの」決して良い客ばかりではないのでしょうが、こういう常連客との触れ合いは温かくてほのぼのします。

解決後の杏子さんの言葉に好感が持てます。
どの物語も、いい終わり方をするのですよね。

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ときわ姫 > 私も「君と〜」で、理由が分かったときにはじわ〜っうるうるでした。どれも気持ちの良い終わり方で、最近日常の謎系は飽きちゃったと思っていたのに、やはり作品次第だったんだと思い直しました。 (2007/06/17 10:13)
めみ > ときわ姫さん、どの短編も以前より安定していて楽しめました。書店の謎だけど、書店員でなくてもできそうな推理もありますが(笑)。日常の謎系はパッとしない作品が多いですが、書店員の日常はそれだけで新鮮な面白さがあります。後味も良いですよね〜。 (2007/06/17 15:21)
posted by めみ at 23:10| 大崎梢

2006年11月03日

配達あかずきん/大崎梢 ★★★☆☆


近所に住む老人に頼まれたという謎の探求書リスト「いいよんさんわん」の意味とは?
コミック「あさきゆめみし」を購入後、失踪した母の行方を探しに来た女性。
配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真。
駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、さまざまな謎に取り組んでいく。
初の本格書店ミステリ、第一弾!


まず、『パンダは囁く』のゾクリとくるオチにびっくり。
伏線が弱いため、唐突な展開に驚いたというのが正解ですが。
こういう流れは結構好きです。
表題作の『配達あかずきん』、これはタイトルがとても良いですね。
美容院に置いてある雑誌なんて気にも留めてなかったのですが、毎回、本屋さんが配達しているとは。
こういう裏話も興味深かったです。
やっぱり書店員って大変なんだ・・・。
『六冊目のメッセージ』では、本でつながる素敵な出会いに心が温まりました。
私なんて好みが特殊なので、人にオススメするときはドキドキしっ放しなのですが。
こんなセンスの良い読書家になりたいものです。
『ディスプレイ・リプレイ』では、オタク男に対する杏子の接客態度に疑問が。
「お客様」に対してそれは無いのでは・・・??

「書店本格ミステリ」ではなく、「本格書店ミステリ」と紹介されていることに納得です。
どれも一応、伏線はあるのですが、多絵の真相解明シーンで一番重要な情報を知るパターンが目立つため、犯人はともかく動機が推理できないのです。
個人的には杏子と多絵のやりとりに、もう少しユーモアが欲しかったなぁ。
2人の関係は実に微笑ましいのですが、会話が普通すぎて笑える要素がないのです。
同じくミステリとしては弱い『インディゴの夜』シリーズのように、地の文でのツッコミがあれば、もっとテンポ良く楽しめたのではないかな。

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たろ > この作品は読んでいて気持ちいいんだけど、ミステリとしては明らかに弱く、お話としてもやや押し出しが弱いですね。僕は書店や本に対する、もう少し言うと、人に対する愛情がにじみ出ているところに好感を持ったので、あえて高い評価をつけましたが。話の種を物語に育てていくセンスはいいけど、見せ方が今ひとつかなという印象です。多絵の個性が際立ってきれくれればなあと期待しています。
ところで、僕はめみさんはセンスのよいミステリの読み手だと思ってます。ミステリ愛好家として見れば好みも特殊じゃないような気もするのですが。めみさんが強力に推薦されている本、例えば道尾さんや初野さんはよかったので、大変参考になっています。 (2006/11/04 00:25)
ときわ姫 > めみさん、読まれましたね。私はこれはミステリフロンティアとしては普通すぎる感じだなと思って、さらっと読みました。ユーモアのことですが、どうやらこのシリーズはユーモア路線をとらないようなので、最初から笑える要素をあまり入れなかったのかなと思います。 (2006/11/04 09:51)
イギー > めみさん、読まれたんですね〜。バイト先は書店とおっしゃってましたがどうでしたか??ミステリーという部分よりも書店員のいろはを楽しんだ感じでした。 (2006/11/04 23:22)
めみ > たろさん、この作品は目新しい謎がたっぷりで、「ああ、通路によくいる店員さんはこういう作業をしてたんだぁ」という発見もあり、とても興味深かったです。私は日常の謎系ミステリを読むと、雰囲気を楽しんだ上で「まぁこんなものかな」という感想を持ちがちなのですが、この作品はそれだけではもったいないような気がしました。もう少しでしっかりミステリになってたのになぁ、と。個人的には、コミック『あさきゆめみし』を全巻揃えているので、もう少し絡ませて欲しかったり・・・。多絵の「不器用さ」が最終話でしか活かされなかったのも残念だったり・・・。たろさんのおっしゃるとおり、見せ方を変えれば化けそうな予感がします。続編に期待です。
そして、優しいお言葉をありがとうございます(T_T)!私はミステリ好きといっても、大御所の作品にはなかなか手が出せない未熟者なのですが、(この作品に関してもですが)無粋だと自覚しつつも、ついミステリの技巧に注目してしまい正当な評価ができないことが多々ありまして・・・。でも、私が星5つ評価を付ける作品は、どれも「きっと忘れられないだろう」と感じる作品ばかりで、道尾さんはともかく初野作品に対して共感して頂けるとは本当に感激です。私の日記は感想文にしてもお粗末ですが、たろさんの日記は完璧な書評で毎回唸らされます。どの作品も必ず良い面を見つけようとされる姿勢は見習わなければいけません。 (2006/11/05 15:51)
めみ > ときわ姫さん、ミス・フロは掴み所がなくて困っちゃいます。この作品はユーモア路線ではないのですね。杏子と多絵、2人のキャラだともっと軽快な掛け合いができるような気がするのですが・・・。伏線があるので『インディゴ』よりはミステリっぽいと感じましたが、この点が気になって少し緩い印象が残りました。でも、続編の「後味の悪さ」がなんとなく解る気がします。確かに私好みかも・・・楽しみです☆ (2006/11/05 15:56)
めみ > イギーさん、やっぱり書店員大変そうですね〜。色々とイメージしたのですが、私がレジを担当すると、ヘンな本を買う客を眼力でやっつけてしまうかもしれません(同じ理由でレンタル屋店員もダメかも・・・)。ミステリ専門店で働きたいと考え直しました(笑)。 (2006/11/05 15:56)
posted by めみ at 22:04| 大崎梢