 契約ライターの多恵は、若い女性が突然、路上に飛び出し車に轢かれて死亡するという事件に興味を持ち、独自に取材を始める。 その女性・鉤沼いづるは容姿が醜くく、公衆の面前で恋人にいちゃつくなど目に余る行動をしていたという。 後日、同じ地域で駅の階段から男性会社員が転落死する。 多恵は2人の被害者に共通する「周囲への印象の悪さ」に注目し、関連を調べることに。 一方、妊婦の乃々香は、被害者が以前所持していたストラップや名刺入れを手に入れていた。 大切な「記念品」として・・・。
<なんで、あんたが?というような相手が自信満々に振る舞っている姿ほど、見ていて不愉快なものはない>
物語は、多恵と乃々香の2つの視点で交互に進んでいきます。 ありふれた手法なのに、なぜか異様に面白い。 この作家さんは、女性の心理(主に嫌な面)を描くのが上手いのでしょうね。 追う多恵と追われる乃々香。 2人の心理戦はなかなか読み応えがあって、友情に似た感情が芽生えそうになったり、少しヒヤリとするシーンもあり。 以前読んだ『さくら草』と同じく、感情移入ができる登場人物が全くいません。 乃々香はともかく、多恵にまで好感が持てないところが凄い。 意地悪な気分にどっぷりと浸りながらの読書でした。
最後まで予想通りの展開でしたが、鉤沼いづるの恋人・佐藤の言葉にはじ〜んときました。 いづるは本当に幸せだったんだなぁ。 ここで読後感がぐんと良くなりました。 物足りないと感じたのは、乃々香の旦那さんの件。 ここは、ドッロドロを期待していたのですが。
「先入観」の怖さを痛感した作品でした。 | |