2008年11月11日

スナッチ/西澤保彦 ★★☆☆☆



22歳だった。次の日、ぼくは53歳になっていた・・・。
1977年1月15日、恋人の両親に会うため東京から高知に向かった奈路充生は、そこで銀色の雨にうたれる。
奈路が気がついたのは、31年後。
彼は53歳になっていた。
その間、彼の肉体は別の人格に支配されていた。


<ぼくは多くを望みすぎているだろうか?>

想像していたストーリーではなかったかな・・・。
『スナッチ』といえば、大好きなガイ・リッチーの映画ですが。

個人的に、西澤さんのSFで印象深いのは『複製症候群』なのですが、それと比べると、えらく落ち着いた仕上がりでした。
ミステリとしては、意外にも満足。
でも世界観がどうにも受け入れられませんでした。
とにかく、説明臭くてたまらない。
もっと、スマートに表現して欲しかったなぁ。
posted by めみ at 20:47| Comment(0) | 西澤保彦

2008年09月03日

夢は枯れ野をかけめぐる/西澤保彦 ★★★★☆


勤務先を早期退職し、ひとり静かに暮らす中年男・羽村祐太。
だが、彼のもとになぜか、数々の不思議な事件の相談が持ち込まれ・・・。
ミステリ界の雄! 西澤保彦ワールド全開!! (amazonより)


<あなたにも見据えて欲しいのよ、この現実を>

「高齢者の介護問題」を中心とした6つの短編集です。
ミステリではない・・・かな。

主人公・羽村は穏やかなキャラだし、のほほんとした雰囲気なので日常の謎系かと軽く読み始めたら、非常に重いテーマに打ちのめされてしまいました。
作中で浮き彫りにされる状況は決して目新しいものではありません。
でも、自分も決して他人事ではないという意識があるので、どっぷり感情移入してしまい、改めて考えさせられました。
主婦や娘の心理描写が抜群に巧いのですよね。

最終章ではあんまりな展開に涙がこぼれそうに。
もの悲しくもささやかな救いが感じられたラストでした。
posted by めみ at 17:15| Comment(0) | 西澤保彦

2008年05月13日

腕貫探偵、残業中/西澤保彦 ★★★★☆


立て篭もり?偽装殺人?詐欺?轢き逃げ?など奇怪に思える事件も人間関係を解きほぐしていくと、意外にも・・・。
日常の暗部に恐ろしい罠が待ち受けてるのが人生だって!?
あっけらかんと他人の秘密に迫る、嫌味なまでに冷静沈着な腕貫男は、神出鬼没で杓子定規な市民サーヴィス課苦情係。
西澤ワールド炸裂の傑作ミステリー。


<個人的なお悩みもお気軽にどうぞ>

今回はタイトルの「残業中」の通り、市役所の業務終了後、腕貫探偵がプライベートで推理しまくるという設定です。
プライベートなので、腕貫はしていないだろうから、もはや「腕貫探偵」ではないと思うんだけど・・・。
推理時にシャキーンと腕貫を装着するとかだと納得できるんだけど・・・まぁいいか。
各話に登場するユリエと真緒のコンビが楽しい。
ユリエと腕貫探偵の共通の趣味が「美味しいモノを食べること」なので、美味しそうな料理がこれでもかと登場。
そこも見所となっています。

洋食屋で起こった立て篭もり事件の真相とは?「体験の後」
写真に写った車の状況は、ある殺人事件の証言と食い違っていた・・・。「雪のなかの、ひとりとふたり」
偶然発見した、憧れの少女との約20年前のツーショット写真。でもその記憶が全くないのはなぜ?「夢の通い路」
元教師の女性の死後、自ら通帳から5千万円を引き出していたことが発覚。その理由とは?「青い空が落ちる」
家が隣り同士の中学生の男女は、毎晩、窓を開けて会話をしていた。その後、殺人事件が起きて・・・。「流血ロミオ」
恋人の殺害計画が意外な展開へ。「人生、いろいろ。」

「青い空が落ちる」が一番好みかな。
女性の心情が伝わってくるので真相にも説得力があり、物語としても綺麗だった。
「体験の後」「流血ロミオ」は、事件も謎もとても面白かったのに、真相部分が粗くて残念。
「人生、いろいろ。」のオチはとても楽しかった。後味良し。

相変わらず、腕貫探偵の推理はほぼ妄想で強引なモノが多いけれど、何となくスッキリするから不思議。
このシリーズ、好きだなぁ。
真相に触れています。
posted by めみ at 11:57| Comment(2) | 西澤保彦

2007年08月21日

収穫祭/西澤保彦 ★★★★☆


1982年、8月17日、夜。
暴風雨の首尾木村北西区で、ほとんどの村民が虐殺される大量殺人の発生が警察に伝えられる。
しかし悪天候と現場に通じる2脚の橋が流されたため地区は孤立、警察の到着は翌日になってからだった。
かろうじて生き延びたのは中学3年の少年少女3人と彼らが通う分校の教諭ひとり。
被害者は、3人の家族ら14名で、そのうち11人が鎌で喉を掻き切られていた。
不明な点もあったが、犯人は、事件当日、逃走後に事故死した英会話教室の外国人講師と断定された。
そして9年後、ひとりのフリーライターが生き残った者たちへの取材を開始するや、ふたたび猟奇的な殺人事件が起こる。(帯より)


<こんなに殺していいものか!?>

装丁が怖すぎる。
ジュゼッペ・アルチンボルドの装画だけでも充分不気味なのに、プラス血しぶきだなんて。
読後にゾクリとくる、このタイトルも秀逸。

ストーリーは、1982年の事件の日から始まり、フリーライター・涌井の生存者への取材、そして新たな殺人事件へと発展します。
最初の事件を描いた第1部は文句なしに面白い。
次々に死体を発見する子供たちのパニックと、孤立した村の緊迫感、そこで出会う精神に異常をきたした人物への恐怖感が、見事な筆致で描かれていてゾクゾクさせられます。
残念ながら、第2部以降はトーンダウン。
少し退屈でした。

ミステリ面では、生存者の記憶が不鮮明という点に不満が残りますが、伏線は非常に巧妙です。
さりげないけれど頭の片隅に残っていた描写が、真相とバッチリ繋がっていて驚かされます。
完全に謎が解ける訳ではなく、ところどころ読者の想像に委ねられているあたりがまた巧い。

以下、気になった点。
中盤のリアリティに欠けた展開が納得できない。
西澤作品らしさと言えばそうだけど、題材を考えるとおふざけ感が否めません。
そして、第2部以降は『フェティッシュ』同様、タガが外れっぱなし。
今回は極限状態やトラウマという原因で説得力があるはずなのに、西澤作品では不要なエロ描写がパターン化してるので「またかよ〜」とゲンナリしてしまうのですよね・・・。
これ、エロを削ればきっと半分の厚さになっただろうなぁ。

後味が相当悪いし、冗長にも感じますが、訳の解らない迫力と魅力のある作品でした。
真相に触れています。
posted by めみ at 18:42| 西澤保彦

2006年08月30日

七回死んだ男/西澤保彦 ★★★★☆


不規則ながら一日を繰り返すことのできる能力をもつ久太郎は、大手レストランチェーンの会長である祖父が殺されるのを防ごうとする。
ただし、繰り返すことができるのは9回まで。
想定外の出来事が起こる中、久太郎は孤軍奮闘するが・・・!


第49回 推理作家協会賞候補作。

評判通りの面白さ。
西澤ミステリの中では一番好きです!!

毎回、久太郎が犯人とおぼしき人物を足止めしても、なぜか祖父は殺されてしまう。
ずっと祖父に付いていれば殺人は防げるのでは?という疑問も、ある理由で上手く解消できています。
そして、やっと事件から解放されたと思いきや、大きな落し所が待ち構えているのです。びっくり!

笑えるくらい極端なキャラが多く、サクサク読める軽さも良い。
しかし、伏線もロジックも完璧。
謎解きシーンでは思わず「ほぉ〜っ!」と感嘆。
西澤作品には珍しく(?)スッキリ納得できるミステリでした。
お見事です!

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イギー > すごく順調に読まれてますね西澤作品。私もこの作品は大好きです。めみさんの言う通りスッキリ納得できたのも良かったのかも♪ (2006/08/30 22:39)
さくら > 設定が面白いですよね。納得いくラストですし、軽く読めて好きでした〜。 (2006/08/31 10:40)
めみ > イギーさん、この真相には驚きました〜♪西澤作品は極端に伏線が少ないので、ロジックが「妄想」になりがちなのですが、今回は見事にやられました!やっぱりスッキリさせてくれるのが良いですね♪ (2006/08/31 14:42)
めみ > さくらさん、この設定でしっかりミステリに仕上げているなんてスゴイですよね〜♪次々と明らかになる真相も斬新に感じました。軽妙な文章が雰囲気に合ってましたね☆ (2006/08/31 14:54)
posted by めみ at 21:34| 西澤保彦

2006年08月29日

謎亭論処/西澤保彦 ★★★☆☆


女子高教師の辺見祐輔は、忘れ物を取りに戻った夜の職員室で、怪しい人影に遭遇した。
その直後、採点したばかりの答案用紙と愛車が消失。
だが二つとも翌朝までには戻ってきた・・・。
誰が?なぜこんなことを?
やがて辺見の親友タックこと、匠千暁が看破した意外な真相とは?『盗まれる答案用紙の問題』


タックたち4人組が活躍する短編集です。
『解体諸因』と同じく時系列はバラバラ。
このシリーズは、日常の謎だと思っていたら非日常だったというオチが面白いのですよね。
それぞれの事件は少々の毒を含んでいるものの、なかなか楽しめました。

なにより、卒業後の彼らの状況を知ることができて嬉しい!
ボアン先輩が教師になったことは置いといて、一番驚いたのがウサコが結婚してること。
それもタカチが言うにはタックが仲をとりもったらしいし。
すごく気になる!
早くこのあたりを書いて欲しいなぁ。
posted by めみ at 21:32| 西澤保彦

2006年08月29日

依存/西澤保彦 ★★★★☆


ルルちゃんの誕生日を祝おうと、白石教授の自宅へ集まったタックたち飲み会メンバー。
そこで教授の再婚相手の女性に出会った瞬間、タックは青ざめる。
なんと、彼女はタックの生みの母親だった・・・!


待望の「依存」です。
再読とはいえ、なかなか細部までは憶えていないものです。
ラストまで一気読みでした。

今回はウサコが語り手。
これがまた、切なさや胸の痛みがビシビシ伝わってきてとても効果的なのです。
しかし、初読時はかなり重い内容に引き気味だったことを思い出しました。
この状態のタックを知っているが故、後に彼が探偵役だと知り、とても違和感があったことも。

飲み会メンバーが抱える悩みや謎の解明が主なストーリーで、タックがタカチに語る生みの母親の美也子との関係が「ホームカミング」として挿入されてます。
後半、この2つの要素が絡み合っていくところが見事!
着地が綺麗に決まっています。

そして、タックとタカチがようやく・・・。
これは感激です!
タックを救おうとするタカチの迫力ある姿にうっとり。
今までの2人の経緯を知らないと、終盤の台詞の深さは解らないままでした。
そしてボアン先輩、やっぱり格好イイ!
タカチをピシッとたしなめたり、心情を思いやったり・・・見せ場が盛り沢山。
彼女の「迷い」も頷けますね。ちょっと惜しいかも。

しかし、あとがきによると<卒業・別離編><ウサコ・結婚編><ボアン・就職編><タカチ・タック・再会編>と続く予定だそうですが・・・。
待ち遠しいです。
posted by めみ at 21:31| 西澤保彦

2006年08月28日

スコッチ・ゲーム/西澤保彦 ★★★★☆


2年前、郷里の高校卒業を控えたタカチが学園の寮へ帰ってくると、同姓の恋人が殺されていた。
恋人の浮気を疑っていたタカチは、その真相を探ろうとする。
やがて、第2、第3の殺人が・・・!


今回はタカチの高校時代の事件を中心に進みます。
語り手がタカチだからか、前作でも触れた親子関係、男のナルシシズムや嫉妬など、全体的に哲学風。
『彼女が死んだ夜』で気になっていた「16歳の少女」が、まさかこんな形で出てくるとは衝撃でした。
壊さなくてもいい関係を自ら壊してしまった、との言葉にも納得。
そりゃ、忘れられないよ・・・。

今回はタカチのデリケートな問題に加え、ミステリ色も濃いです。
殺人の動機はどうにも納得できないし、苦いモノが残りますが、この謎は魅力的でした。

ラスト、タックがタカチを自由へと解放したことで、2人の関係は強固なものに。
タカチの約束が胸に迫ります。

<きっと行くわ。あなたのところへ>
posted by めみ at 21:29| 西澤保彦

2006年08月27日

仔羊たちの聖夜/西澤保彦 ★★★☆☆


1年前のクリスマスイヴ。
コンビニの真上のマンション最上階から、タックたちの目の前に女性が落下し死亡するという事件が起こる。
一年後に、何かの手違いでその女性のものらしいプレゼントをボアン先輩が保管していることが発覚。
タックとタカチが女性の遺族に返すことに。
が、女性の身元をたどるうちに、5年前の同じ日にも、同じ場所からプレゼントを手に飛び下り自殺した若者がいたとわかり・・・。


1年前の、タックたち3人の運命の出会いが描かれています。
タックとタカチは事件の詳細を突き止めるため、様々な人物にアポをとり、車で出向き、情報を手に入れる。
前作とは打って変わって、フットワークが軽い軽い。
逆にテーマはずっしり重いです。

「親の独善的支配力」。
どの親も少しはそんな部分があるのでしょうが、極端なケースはもうおぞましいとしか言いようがない。
子供の意思を認めない人物が続々出てきて気が滅入ります。
そして、被害者の女性にシンクロすることで、タカチの複雑な家庭環境も徐々に明らかに・・・。
何事にもクールなタカチが、必要以上に事件とその背景にのめり込んでいくので、不思議に思っていたのですが・・・。
その痛々しい姿がやり切れませんでした。

そして、タカチが感じる「タックの言葉の重さ」。
出会いから始まっていたと知り、じ〜んと。
posted by めみ at 21:28| 西澤保彦

2006年08月26日

麦酒の家の冒険/西澤保彦 ★★★☆☆


タックたちが迷い込んだ無人の山荘。
家具も内装もないからっぽの室内にあったのは、一台のベッドと、なぜかクローゼットに隠された冷蔵庫の中にある、冷えたビールのロング缶96本とジョッキ13個だけ。
誰が何の目的で?
タックと仲間たちはビールを飲み続け、推理に推理を重ねる。
果たして真実に辿り着けるか?


いやぁ。前作はまだまだ甘かった。
すごいですよ。
今回、4人が一晩で空けたビールの数、49本。しかもロング缶。
我慢できず、私も(こちらはスーパード○イですが)くぴくぴ飲みつつの読書でした。

タイトルから推測できる通り、殺人事件は起こりません。
なぜベッドと冷蔵庫しかないのか?
なぜ1階と2階に別々に置いてあるのか?
なぜ冷蔵庫には大量のビールとジョッキが入っているのか?
この謎に、4人が延々と悩み続けるのです。
もし私がこのメンバーの一員なら、飲むだけ飲んで「ど〜でもえ〜やん」って寝ちゃうな。きっと。

謎の奇怪さと魅力のせいか、『聯愁殺』より楽しめました。
家をビールで埋め尽くすのでは?という仮説には思わずのけぞったり。
でも、全体的に淡々としたリズムなので、やっぱり殺人事件を入れた方が引きがあって好みかも。

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まゆ > 順調に読み進めてらっしゃいますね。これはある意味究極のミステリですね。延々と続く推理合戦。読むほうも大変です(笑)しかも、ビールないとつらいし。
このシリーズ、「依存」読んだ後に再読したんですが、一作ごとにタックとタカチの関係が微妙に変化していくのが、最終的に「依存」につながっているのですよね。 (2006/08/27 19:15)
めみ > まゆさん、以前からタックは安楽椅子探偵っぽいと感じていましたが、この作品は本当に究極でしたね(笑)。文章が丁寧なので、なんとか仮説をイメージできることが救いです。ビールは手放せませんね〜。牛肉スライスのチーズ巻きは絶対作るつもりです!
そして、ゴールまで断然勢いがついてきましたよ。2人の関係がもどかしいようで、でも理解できるようで悶々としちゃいます。こうなると、本当に「依存」は特別な1冊だったんだと口惜しい気持ちで一杯です・・・。 (2006/08/28 09:51)

さくら > これはビールすすんじゃいますよね〜〜かなりアルコール漬けになった脳味噌で読んでしまい・・これも細かなストーリー覚えていません・・。 (2006/08/29 10:01)
めみ > さくらさん、お酒好きな読者にはたまらないのですが、筋を追うのが辛いシリーズでもありますね(笑)。私も酔っ払って途中睡魔に襲われました・・・。きっと冬に読んでも飲みたくなるでしょうね〜。 (2006/08/29 11:28)
posted by めみ at 21:25| 西澤保彦

2006年08月24日

彼女が死んだ夜/西澤保彦 ★★★★☆


門限6時の超厳格教育で育てられた箱入り娘のハコちゃん。
念願のアメリカ旅行へ出発する前夜、壮行会から帰宅するとそこには見知らぬ女性の死体が!?
このままでは旅行が取り止めになってしまう!
慌てたハコちゃんは、友人・ガンタに死体の処理を頼むが、なぜかタックとボアン先輩も巻き込まれてしまう。


全編、ビール祭りです。
いや〜タックもボアン先輩も飲むわ飲むわ。
ここは私も1本、と冷蔵庫内を探したら冷えてませんでした・・・くぅ〜。

西澤さんはエキセントリックな人物を描くのが上手いですね。
それも「憎めない程度」ではなく、徹底的に。
も〜ハコちゃん、腹立つわ〜!
この尋常でないトラブルと4人の軽妙な会話にどんどん引き込まれてしまいました。

事件も面白いですが、タックたちのストーリーに動きがあるのが嬉しいです。
後の展開を知っているだけに、「2人はいつから互いを意識し始めるのだろう?」とそればかり気になってしまいました。
タカチの過去も少し触れられているのですよね。
16歳の女の子とは何者?
なんだか意味深な伏線がたくさんあるので、度々再読しなきゃ。付箋でも貼ろうか。

真相はとても意外でした。びっくり。
でも、この犯人の気持ちが痛いほど解る・・・。
報われないなぁ。
posted by めみ at 18:43| 西澤保彦

2006年08月21日

解体諸因/西澤保彦 ★★★☆☆


タック&タカチシリーズを、現時点での完結作とも言える『依存』から読むという失態をやらかした私。
その『依存』の記憶も薄れかけた頃だし、今度こそ順番通りに読むつもりで大量に借りてきました。
しばらくは西澤祭りということで。

『解体諸因』は、西澤さんのデビュー作だそうです。
とても苦手なテーマなのですが、エロもグロも全く無しの爽やかな仕上がりでした。

バラバラ事件といっても、被害者(?)は人間からぬいぐるみ、ポスターと様々。
立ちはだかる謎に、タックやボアン先輩、中越警部の推理が冴え渡るのです。
よく考えれば動機もロジックも穴だらけなのですが、発想が特殊でとても楽しい。
台詞で幕を閉じるのもいかにもパズラー風で格好イイです。

唯一、台本形式で進む作品はとても読みにくく忍耐が必要でした。
最終章では、各章での結論が覆され、新たな解釈が出てきたり・・・。
この真相が一番好きです。

あとがきで、ある評論家に『こんな理由で死体を切断する奴がどこにおるかぁっ』と激怒されたとあり、笑いが止まりませんでした。
まさに!まさにその通り!
でも、それを言っちゃあ・・・。

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まゆ > 初・西澤保彦がこれだったので、めまいがしました(笑)なんとマニアックな・・・って感じで。でも、このシリーズは大好きです。シリーズ通して読むと、「依存」は本当に感動しますよ〜。ぜひ読破してくださいな。 (2006/08/21 20:19)
イギー > この作品、一度挫折してしまっているんです・・。とても人気のあるシリーズなので再度チャレンジしようと思いました。部屋のどこかにあると思うので探してみます! (2006/08/21 23:37)
さくら > どうもこのシリーズって細かな内容を覚えてないんです。最近気づいたのですが、たぶんこれ読むとビールの量が普段より多くなってしまっているようで・・それが原因かと。 (2006/08/22 12:44)
めみ > まゆさんはデビュー作から読まれているのですね♪さすがだなぁ〜。本当にマニア向けの作品ですよ(笑)。タカチも少し登場していましたが、2人の関係は本当に微笑ましいですよね。まだまだ序盤ですが、気持ちが盛り上がってきました。いざ、読破です! (2006/08/22 12:54)
めみ > イギーさん、確かにハードな内容ですよね〜。読み進めていくと感覚が麻痺しますよ(笑)。このシリーズは本当に人気が高いので、私も手を出したくてウズウズしてたのです。イギーさんも、本が見つかり次第、一緒に追いかけましょう♪ (2006/08/22 13:04)
めみ > さくらさん、笑ってしまいました♪今、『彼女が死んだ夜』を読んでいるのですが、酒量が半端じゃないのですよ〜。なるほど、時期的に片手にビールで読むのもアリですね(笑)。本当に美味しそうで喉が渇きます〜。 (2006/08/22 13:12)
posted by めみ at 18:41| 西澤保彦

2006年04月25日

腕貫探偵/西澤保彦 ★★★★☆


殺人?詐欺?行方不明?
悩める市民の相談事を解決するのは腕貫をはめた出張所の職員。
ユーモア溢れる痛快ミステリー連作短編集!(帯より)


<ひとりで悩んでないで、窓口にお並びください。>

西澤作品は短編のほうが好きかもしれません。
今までのベストは「蓮華の花」だったのですが、本書もなかなか魅力的な謎に出会えました。

なぜ、犯人は死体をバス停から被害者の自宅へと運んだのか?
再婚が決まった母は、なぜ突然体調を崩したのか?
軟派男が陥った罠とは?
定年退職した大学の事務職員の家に、学生証の束と履修届の一覧表がある理由とは?
殺害されたベストセラー作家は、なぜ直前に入った洋食屋で何も注文しなかったのか?
展覧会から一枚の絵が消えた理由とは?

これらの謎を解き明かすため、横浜市一般苦情係は、櫃洗市内の大学、アーケード、警察署、会館のロビーの片隅など、「なぜこんな所に?」と思わずにいられない場所へ出張するのです。
担当は、両腕の肘まで黒い腕貫を嵌めているひょろりと鉛筆みたいに細身で年齢不詳の男。
他に客は誰もいないのに、まずウェイティングリストに名前を書かせ、後に名前を呼ぶという、マニュアルも徹底しています。
しかし、そのアドバイスは的確で、相談員の悩みを解決させたり、過去の罪を思い出させ破滅に追いやったり。

連作かも?という演出もあり、とても楽しめました。
一番、面白かったのは「スクランブル・カンパニィ」
続編を出して欲しいです。
posted by めみ at 17:36| 西澤保彦

2006年01月26日

フェティッシュ/西澤保彦 ★★★☆☆


<fetish ・・・物神、呪物、盲目的崇拝物、迷信の対象、崇物愛の対象物>『小学館英和中辞典』より


またしても、万人ウケしない作品です。
いや、私も決してウケた訳ではないのですが・・・。
エログロシーンが含まれているということで、途中で断念する気満々だったのですが、なんと完読してしまいました。
しかし・・・読書中はガムも口の中に入れられないほどの気持ち悪さです。

目次は凝ってます。
縦にも横にも読め、数の表記もそれぞれ漢数字だったり、ローマ数字だったり。
「意匠」「異物」「献身」「聖餐」「殉教」の5つの物語が入り乱れながら進みます。
各主人公は、黒タイツフェチの老人、自信喪失気味の看護婦、息子を自殺で失った主婦、同棲相手に逃げられた御曹司、手フェチの警察官。
彼らは、美少年・クルミとの出会いがきっかけで、破滅へと導かれることになります。

何より、彼らがクルミと向き合った瞬間の理性のふっとび具合が凄まじいです。
特に女性の場合、タガが外れるというか、まるで物の怪にとり憑かれたような変わり様で、読んでるこちらも赤面モノです。
もう少し控えめに表現してもらえないだろうか。
これで、クルミが小悪魔めいた性格ならばともかく、とても気弱な子なので、もう気の毒で気の毒で。

本書の中で、唯一同情できるのは「聖餐」の主婦・智津香。
彼女の気持ちだけは理解できましたし、最後の残酷さが際立ちました。
他の登場人物の末路は自業自得で片付けられましたが。

一応、ミステリ風味ということで、それが途中でやめられなかった原因です。
「殉教」で、連続殺人事件の謎に迫っていくのですが、この展開がとても面白かったのですよね。
しかし、ラストは真相よりも、その怒涛の結末に圧倒させられました。

彼はあの後、どうなるのか・・・。
不安が残ります。
posted by めみ at 17:06| 西澤保彦