2008年03月24日

死写室/霞流一 ★★★☆☆


どの事件にも、映画の匂いがする・・・。
映画館、試写室、ロケ先、セットの撮影現場etc.で発生する、奇怪な事件の数々。
不可能犯罪としか思えない状況を、酩探偵・紅門福助が、アクロバティックな論理で次々と解決に導いていく。
読めば映画製作の裏事情がすべて分かる、かもしれない?!
軽妙なユーモアで描く連作ミステリー。(新潮社より)


<私立探偵が映画を観ちゃいけない?>

私立探偵・紅門福助シリーズです。

全て映画にまつわる短編集。
霞さんは作家として独立するまで、20年間映画会社に勤務していたそうで、映画の裏側やスタッフの悲哀がコミカルに描かれています。
薀蓄が控えめなのが好印象かな。

今回も霞さんらしい発想に笑い、驚かされました。
お気に入りは、被害者はどうやって倉庫に入ったのか?という謎に迫る「モンタージュ」。
鮮やかなトリックにため息が出ました。
そして、紅門の推理により犯人がアッサリ罪を認めて終了というパターンが多い中、「霧の巨塔」は良い話で好みでした。

霞トリック、ぜひ映像化してほしいなぁ。
真相に触れています
posted by めみ at 19:05| Comment(0) | 霞流一

2008年01月13日

夕陽はかえる/霞流一 ★★★★☆


プロの暗殺組織<影ジェンシー>で実務を手掛ける<影ジェント>の一人、<カエル>が不可能状況で殺された。
明らかに同業者の手口。
同僚の瀬見塚は、<カエル>の遺族の依頼で真相を追う。
だが、<カエル>の後釜を狙う<影ジェント>たちが瀬見塚に刃を向け、彼らの怪奇を尽くした決闘の応酬は<東京戦争>と呼ばれるほどに発展していく。
殺し屋による殺し屋殺しと推理の行方は? 背徳のSin本格誕生!(ハヤカワオンラインより)


<だから、殺し屋だらけの殺人事件はイヤだって言うんだよ>

装丁のイラストが素敵です。

殺し屋にも、普通の企業と同じく、影業(営業)、刑裏(経理)、掃務(総務)という役割がある設定が、個人的にツボでした。
「討ち合わせ」シーンはそれぞれ個性的で楽しいのですが、少し多すぎるかな。
天気予報を叫びながら攻撃、パン作りに使う麺棒で攻撃、ダンスしながら攻撃・・・とにかくハチャメチャなのです。
映像化すると「キル・ビル」みたいなイメージかな。
おかげで、不可能殺人や密室殺人が、小粒な印象を受けました。

でも、真相には驚いた。
多すぎて鬱陶しいと感じていた「討ち合わせ」シーンにも、しっかり伏線が張られていました。
ショッキングなトリックも、このノリだから許されるのでしょうね。満足です。
真相に触れています。
posted by めみ at 15:54| Comment(0) | 霞流一

2005年12月06日

フォックスの死劇/霞流一 ★★★☆☆


怪奇映画の巨匠・故大高誠二監督の墓が散歩した!?
だがそれは奇妙キテレツな連続事件のほんの発端に過ぎなかった。
大高監督と関わりの深かった映画人たちの首や腕や足が持ち去られた死体がゴロゴロ、しかも殺人現場にはキツネの面、油揚げ、赤い鳥居などのお飾りが。
犯人は一体何を考えているのか?
事件に巻き込まれた探偵・紅門福助が謎に迫る!(あらすじより)


<老人とは存在そのものがサスペンスである>

自他認めるバカミス作家、霞隆一さんです。
霞作品の長編は「呪い亀」に続いて2作目。
「呪い亀」がもうとんでもないバカミスで、いまだに忘れがたい衝撃が残っているのですが、それと比べると今回は少し地味ですね。
やはり順番通りに読まないと・・・後悔。

でも全編に散りばめられているギャグの数々には失笑し通しでした。
すべてが成功しているとは言いませんが、お笑いレベルのすこぶる低い私は大満足です。
とにかく、紅門の「つい出来心で口に出す一言」が最高!
それを切り返すオババの腕も見事。

しかし、ギャグにごまかされている場合ではない。
描写を細かくチェックすると、伏線が巧妙に張られています。
そして、最後の謎解きでは立派な「本格ミステリ」に変化しているのです。
もちろん、論理に強引さを感じるのですが納得させられてしまうのですよね・・・。

映画関係の薀蓄などはあまり興味がなかったのですが、事件の導入が手早いのと、次々謎が出てくる展開はなかなか飽きさせません。
これは追いかけなくては・・・!
posted by めみ at 16:19| 霞流一