2008年10月27日

モダンタイムス/伊坂幸太郎 ★★★☆☆


岡本猛はいきなり現われ脅す。「勇気はあるか?」
五反田正臣は警告する。「見て見ぬふりも勇気だ」
渡辺拓海は言う。「勇気は実家に忘れてきました」
大石倉之助は訝る。「ちょっと異常な気がします」
井坂好太郎は嘯く。「人生は要約できねえんだよ」
渡辺佳代子は怒る。「善悪なんて、見る角度次第」
永嶋丈は語る。「本当の英雄になってみたかった」
検索から、監視が始まる。
漫画週刊誌「モーニング」で連載された、伊坂作品最長1200枚。


<人の自尊心をもてあそぶなよ>

冒頭から中盤まではどこへ転がるか分からないストーリーに夢中でしたが、そこから中だるみに突入。
読後の感想は、「長い!」でした。
伊坂さんの文体だと緊迫感が伝わらずに安心して読めてしまうのもマイナスかな。

会話やレトリックはやっぱり素敵ですが、珍しく登場人物に魅力は感じませんでした。
一番残念だったのは、(類似点が多いとされる)『ゴールデンスランバー』のような感動的な伏線が見当たらなかったこと。
う〜ん、期待しちゃったかな〜。

私はやっぱり書き下ろし作品が好きだなぁ。
物足りないです。
posted by めみ at 19:51| Comment(2) | 伊坂幸太郎

2008年07月23日

実験4号 後藤を待ちながら/伊坂幸太郎×山下敦弘 ★★★☆☆


舞台は今から100年後、温暖化のため火星移住計画の進んだ地球・・・。
火星へ消えたギタリストの帰りを待つバンドメンバーの絆の物語(伊坂幸太郎『後藤を待ちながら』)と、火星へ旅立つ親友を見送る小学生たちの最後の2日間(山下敦弘『It's a small world』)が、いま爽やかに交錯する! (Amazon商品の説明より)


<そして最悪の人生を消したい>

伊坂さんの短編と、映画監督・山下敦弘さんの映像がコラボしてます。

伊坂さんの小説目当てだったので、DVDは見なくてもいいかなぁ〜と思いつつ、何となくDVDから観てみると、DVDの方が良かったという、そんな感じ。
子供たちの演技が自然で可愛すぎる〜。ラストも良い!

伊坂さんの方は、おなじみの不遜なキャラ・後藤が登場。
Theピーズのインタビューを絡めながら物語が進みます。
ラストは小気味良いどんでん返しがあって笑えました。

2つの作品が実にさりげなくリンクされてて、それも良い味出してるんですよね。
DVDの最後にTheピーズの「実験4号」という曲が流れるんだけど、あまりピンときませんでした。
ただ、詞は好きだな。何となく伊坂さんっぽいかも。
posted by めみ at 18:51| Comment(0) | 伊坂幸太郎

2007年12月29日

ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎 ★★★★★


仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。
昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。
訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」と、鬼気迫る調子で訴えた。
と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた・・・。
首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか?(帯より)


<俺は犯人じゃない。青柳雅春>

第一部〜第三部で、金田首相暗殺事件が発生、マスコミやその視聴者の視点で、犯人・青柳が語られ、第四部では、青柳の視点で、事件に巻き込まれ逃走劇を繰り広げる姿が描かれている。

正直、一気読みとまではいかなかった。
序盤で、少〜し『魔王』(←苦手)と似たテイストを感じてしまったせいかな。
あと1点、伊坂さん独特のブラックなキャラが絡んでくるのに、引いてしまった。
サラッと描いてあるのが逆にイヤ、みたいな。

それらが気になって、終盤までは「面白いけれど☆4つ」の気分でした。
でも、ラストの伏線の回収は素晴らしい!!
凄いよ。不要なエピソードなんて無いんじゃないだろうか。
胸の奥から、何かがぶわ〜っとこみ上げてくるラストシーンでした。
真相に触れています。
posted by めみ at 02:44| Comment(4) | 伊坂幸太郎

2007年11月19日

絆のはなし/伊坂幸太郎*斉藤和義 ★★★☆☆


いまから5年前。
会社勤めをしながら小説を書いていた伊坂幸太郎は、斉藤和義の「幸福な朝食 退屈な夕食」という曲を聴いたことがきっかけで、会社を辞めて小説に専念する決心をした。
本書は、奇跡のような出会いを男二人が語りつくした「絆のはなし」であり、その出会いが生んだ新たなファンのための「楽しみ方辞典」である。(本書P17ページより抜粋)


<世界って静かなんだなぁと思いました>

2007年3月、伊坂さんが斉藤さんのために小説を書き、斉藤さんがその小説を基に曲を作るというコラボが実現。
この作品は、その後のプライベート対談をまとめたものです。

斉藤さんの曲は、最近よくCMで流れていますが、ちゃんと知ってるのは『歌うたいのバラッド』『歩いて帰ろう』ぐらいしかありません。
きっと、「サビだけ聞けば知ってる曲」は一杯あるのでしょうが・・・。

そういうことなので、この一冊まるまる伊坂さん情報を目的として読むことにしました。
奥さんとの馴れ初めや、子供の話、年表まであって、大満足!
伊坂作品に登場する女性(祥子さんなど)は、絶対奥さんがモデルだろうなぁ。
ラブラブでした。

基になった短編も読めるかな〜と期待したのですが、収録されてませんでした。甘かった・・・。
posted by めみ at 13:27| Comment(0) | 伊坂幸太郎

2007年04月04日

フィッシュストーリー/伊坂幸太郎 ★★★★☆


『動物園のエンジン』
毎晩、動物園のシンリンオオカミの檻の前で寝転ぶ男。
朝には近くのマンションの建設予定地でプラカートを持ち反対運動に加わっている。
その行為は何を意味するのか?
『サクリファイス』
副業で探偵をしている泥棒・黒澤は、人捜しのため、山間の村を訪れる。
そこには、古くから続く奇妙な風習があった。
『フィッシュストーリー』
30数年前に解散したロックグループの最後のアルバムに収録されている楽曲には、間奏部分に、一分間に及ぶ無音部分があった。
『ポテチ』
空き巣青年・今村が、彼女と忍び込んだプロ野球選手の部屋に、少女の助けを求める電話がかかってくる。
2人は少女に会いに行くことにするのだが・・・。


<礼なら、父に>

『動物園のエンジン』では、伊坂さん独特のレトリックが少々不発気味?と感じましたが、さりげない仕掛けがあって少し驚きました。
『サクリファイス』では大好きな黒澤が登場。
オチが好きですね。
そして、因果関係の奇跡を描いた『フィッシュストーリー』。
バンドボーカルの熱い叫びに少しじーんときました。青いなぁ。
そして『ポテチ』。
このユルイ雰囲気がたまらなく好きです。
今村と大西の掛け合いに声を出して笑ってしまった(キリン!)。中村専務もいいわぁ。
ユーモア満載なんだけれど、これってすごく切ない話なんですよね。
今村と母親のキャラクターがグッときます。

登場人物が既刊作品とリンクされているのですが、解説サイトを見てもさっぱり思い出せないのが残念。
心に残る良い話ばかりでした。

最近は、斉藤和義さんとのコラボなど、幅広く活動してますね。
そのインタビュー記事も可笑しかった〜。
posted by めみ at 22:48| 伊坂幸太郎

2006年07月05日

陽気なギャングの日常と襲撃/伊坂幸太郎 ★★★★☆


『巨人に昇れば、巨人より遠くが見える』
市役所職員の成瀬と大久保は、マンション屋上の人質立て篭もり事件に遭遇する。
突然、人質の様子が変化したことに気付いた成瀬たちは・・・。

『ガラスの家に住む者は、石を投げてはいけない』
響野の喫茶店の常連客・藤井は、ある晩泥酔状態から目を覚ますと女性のものらしき書置きを発見する。
しかし、一緒に飲んでいた友人に女性の存在を否定されたことで、響野と「幻の女」を探すことに・・・。

『卵を割らなければ、オムレツを作ることはできない』
OLの鮎子は、バイト先で入手困難な舞台のチケットを贈られる。
その相手に心当たりのない鮎子は同じ会社の契約社員・雪子に相談するが・・・。

『毛を刈った羊には、神も風をやわらげる』
久遠は夜の公園で、会社員・和田倉が殴られた現場に遭遇する。
久遠が掏った財布の中身から犯人の身元を突き止めるが・・・。


<わたしの言う通りにやれ。わたしのやる通りにではなく>

『陽気なギャングが地球を回す』の、著者初めての「続編」。
タイトル通り、今回は第1章に陽気なギャングのそれぞれの日常が描かれています。
・・・と言っても、非日常的ではありますが。
個人的には雪子のパートが好きかな。
オーナーとの勝負やチケットの意外な贈り主にワクワクしました。

そして2章で4人が集合してからは、全く関係性の無かったはずのエピソードが、少しずつリンクしていきます。
誘拐された社長令嬢を助けるべく、あの手この手の作戦を実行する4人。
日常と比べると、こちらの事件はさほど複雑ではありません。
しかし4人のキャラがストーリーをぐいぐい引っ張っていき、全く飽きることがないのです。
そして、伏線が多すぎるせいでむしろ気付きにくいという、本当に贅沢な構成。
終盤では「うっわー!そこで出てくるか!」とのけぞるばかり。
ラストまで全てが完璧に計算され尽しているのが分かります。要再読!

ただ、響野の演説がもっと聞きたかった私としては、銀行強盗のシーンが1回だけだったことが残念。
ギャングというよりも、単に特技を持つ人間たちの活躍という印象が濃くなったような・・・。

まぁ、そんな不満は全てあの柔道部員たちのシーンで吹っ飛びましたが。
最高!

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たかじょう > 伊坂さんは人気があるのでどうも手を出しかねていましたが、『〜地球を回す』が面白そうなのでついに予約しました。とりあえずこのシリーズから読んでみようと思っていますが、他にオススメやこの順番で読んだほうが良い、というのがあれば教えてください♪ (2006/07/06 12:03)
めみ > たかじょうさん、伊坂作品に挑戦されるのですね〜。私は「このミス」で『重力ピエロ』がランクインされたのが読み出すきっかけでした。それ以降、スタイリッシュな文章と最後に伏線が集結していく爽快感に魅せられ、今では新刊が出るたびに読んでます。作品の内外で登場人物がリンクしているので、刊行された順に読むと楽しいですよ♪順不同でも支障はありませんが、時々ストーリーと関係なく『誰?この人。』というくらい存在感と違和感のある人物は大抵リンクされています(笑)。私のオススメは、このシリーズと『チルドレン』『アヒルと鴨のコインロッカー』、(少数意見ですが)『死神の精度』です。多少ミステリっぽさがあるのは『ラッシュライフ』と『オーデュポンの祈り』で、このあたりも良かったなぁ。『〜地球を回す』は大好きな作品です!読了後、他の作品にも興味を持って頂けたら幸いです♪ご感想、楽しみにしてますね。 (2006/07/06 14:44)
EKKO > 柔道部員たち、驚きましたが、笑えましたよね〜!私も伊坂さんを読んだきっかけは、「重力ピエロ」でした。今は刊行されたら必ず読むようにしています。直木賞に「砂漠」がノミネートされましたね。今度こそ・・!と期待しているのですが。 (2006/07/06 22:12)
めみ > EKKOさん、あのシーンはコントみたいで可笑しいですよね〜!やはり伊坂さんは『重力ピエロ』で注目を浴びたのですかね。それまでは名前を聞いたことも無かったですし・・・。『砂漠』、本当に今度こそは受賞して欲しいですよね〜!他のノミネート作品と比べると地味かも・・・という不安がありますが、もうそろそろ良いですよね(笑)? (2006/07/07 12:53)
たかじょう > オススメありがとうございます♪わたしは『アヒルと鴨〜』で名前を知ったのですが、手を出しかねていました。たしかこの作品はミステリ系の賞をとっていませんでしたっけ?ではひとつづつ読んでいくことにします!ありがとうございました。 (2006/07/07 16:10)
めみ > たかじょうさん、確かサントリーミステリー大賞を受賞して全面改稿されたものが『〜地球を回す』ですね。他の作品は少しクセがあるので、万人受けするギャングシリーズから読まれるのは正しいかもしれません。楽しめると良いですね♪ (2006/07/07 21:45)
posted by めみ at 18:04| 伊坂幸太郎

2006年05月18日

終末のフール/伊坂幸太郎 ★★★☆☆


<明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?
 あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?>


公式サイトがとてもキュートです。
ヒルズタウンの地図上の隠れキャラを探すと創作秘話が読めるのですが、「演劇のポール」のキャラがどうしても見つけられない・・・。

「終末のフール」
担当者からミステリではないものを、と依頼されて、「伏線も何もなくて、唐突に結末がやってきたら、ミステリじゃないかもしれない」との結論から書いた作品だということ。
この創作秘話には、なんだかガッカリ。
意図的に伏線を無くしたせいか、全く面白くなかったです。
妹がゴリ押しする「兄貴の凄さ」がそんなに凄く思えず、くどさを感じました。
「太陽のシール」
オセロという小道具を巧く活かしてます。
「ここで子供を諦めたら、それは小惑星の衝突を受け入れたことになる。
 誰かがそれを見ていて、それなら衝突させてやろうと判断するかもしれない。」
私もよくこういう考え方をするので驚きました。
確かに宗教的かも。
「篭城のビール」
世界の終わりがきっかけで罪を犯す人物が主人公。
視点が変わって斬新なテーマなのですが、短編でまとめるには無理があったのでは。
プロットがぎこちないです。
「冬眠のガール」
あと3年で終末なのに、恋人を探すことを決めた女の子が主人公。
「太陽〜」の奥さんのアドバイスが良いですね。
ほっこりとした読後感。
「鋼鉄のウール」
苗場さん、著者の思惑通りに格好良いです。
専属のカメラマンに対する想いにじーんとしました。
ただ、主人公の両親の心情も解るし、そうなるのが普通なんだろうなぁ。
「天体のヨール」
星を見るより明らか、との二ノ宮の言葉が素敵です。
ヨールの意味に笑いました。
「演劇のオール」
本書で一番伊坂さんらしい作品。
「世の中捨てたもんじゃない」と感じさせる展開が大好きです。
「深海のポール」
方舟とは対照的な主人公の父親が造る櫓から、「必死になって生きる」という強い意思が伝わってきました。
ヒルズタウンの住人たちがベランダに出て夜空を見上げるシーンが素敵です。

今回、他作品とのリンクを無くしたのは、終わっていく世界が舞台だからだそうです。
ほぼ全ての登場人物が達観してしまっているため、あまり同調できないまま、それでも楽しく読み終えました。
それって、このテーマとしてはどうだろう・・・?

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yukko > めみさん、こんにちは。公式サイト、ほんとにキュートですよね!じっくり見れてないので、隠しキャラ二つしか発見できてないんです・・・。終わっていく世界だから、他のリンクが無いんですね。納得〜。なんだかこのごろ伊坂作品のテーマが難しくなっていって、前みたいに素直に楽しめなくて少し残念です。「演劇のオール」は、ラストが伊坂作品らしくて好きです。 (2006/05/18 15:38)
めみ > yukkoさん、こんにちは♪隠しキャラ、1つだけ見つからないのです〜。yukkoさんが気付かれたら教えて下さいね♪そう、最近はテーマが重いですよね。なのに、創作秘話からはそこまで強い信念が読み取れなくて、温度差に戸惑ってしまうのです。『演劇のオール』、私も一番好きです♪やはり伏線があってこその伊坂作品ですね。 (2006/05/18 18:24)
EKKO > こんにちは。私も「演劇のオール」が伊坂さんらしくていいな〜と思いました。あと、めみさんが冒頭に紹介されている苗場さんの言葉もとても印象に残りました。公式サイト、私も挑戦したのですが、半分ほどしか見つけられずにいます。どこにいるのかな〜? (2006/05/20 13:14)
めみ > EKKOさん、こんにちは♪私もとても良い言葉だなぁと思っていたのに、抜粋文、思いきり誤字ってました・・・(修正済です)。やはり『演劇〜』が伊坂さんっぽくてホッとしますね。EKKOさんも隠れキャラに挑戦されましたか!では分かっているものだけヒントです。「右地図・緑の看板。白いハト。」「上地図・ゴルフ場。」「真ん中地図・マンションの植え込みの人影。」「下地図・右横の民家の人影。」「左地図・本屋の上の木。右端から顔を出す。」以上、あと1つなのですよね〜(笑)。 (2006/05/20 17:10)
posted by めみ at 17:46| 伊坂幸太郎

2005年12月20日

砂漠/伊坂幸太郎 ★★★★☆


4月、仙台の大学に入学した北村は、麻雀を通じて同じクラスの鳥井、南、東堂、西嶋と親しくなる。
南の超能力、「大統領か?」と訊ねては殴って逃げる通り魔や悪質な空き巣など、彼らはいろんな事件に遭遇することに・・・。
パワーみなぎる、誰も知らない青春小説!


<なんてことは、まるでない>

装丁の何とふてぶてしい顔!
最初はあまり乗り切れない気分だったのですが、話の方向が見えてくると俄然面白くなりました。

物語は季節ごとに進んでいきます。
大学生活は、社会という「砂漠」に囲まれた「オアシス」。
これって、学生経験がある人なら絶対頷くでしょうね。

女好きの鳥井、不思議な力を持つ南、無表情の美女・東堂、持論がいちいち矛盾する西嶋。
それぞれ異色だけど、大学にならいてもおかしくないキャラばかり。
東堂さんが絶妙なセンスを持っています。
ありきたりな「美女」ではないトコロが良いですね。

そして、やっぱりイチオシは西嶋。
不器用で融通がきかず、常に世界を憂い、そして何より「臆さない」。
「俺たちがその気になれば、砂漠に雪を降らすことだってできる」という台詞は、前作の『魔王』を彷彿とさせますが、西嶋の突っ込みどころ満載の論理は好感度大です。
最初は「痛い奴」の印象でしたが、噛めば噛むほど味が出てきました。
まるで「彼」のようだな〜と思っていると、思わぬリンクが!
ほ〜、今回はこの人でしたか。
きっと西嶋に多大なる影響を与えたのですね。

青春小説ということで、所々に見え隠れする「友情」にホロリ。
第2章ではとてもショックな事件が起こり、そこでの西嶋の行動にジーンときます。
ただ、麻雀には全くの無知なため、説明を読んでもサッパリでした。
牌の絵が出てくる作品って初めて読んだかも。

終盤はまさに驚きの連続!
伊坂作品特有の、すべてが一つにまとまっていくラストは今回も見事です。
伏線も巧みに隠れてるんだな〜これが。
とにかく爽快感がたまりません!

前作ほど考えさせられるテーマも無く、かといって軽く読める訳でもない。
なにより、とても懐かしい気分になりました。

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yukko > めみさん、こんにちは。早いですね〜、もう読まれたんですね。「すべてが一つにまとまっていくラストは今回も見事です。伏線も巧みに隠れてるんだな〜これが。」という感想、そうですかぁ・・・早く読みたい!!!! (2005/12/22 14:15)
めみ > yukkoさん、こんばんは♪私も予想以上に早く図書館から届いたので驚きました!今回は爽やか青春小説に仕上がってますよ。もちろん、風刺も適度にミックスされて(笑)。面白い、面白くないよりも、読んで良かった〜と思いました。yukkoさんの手元にも早く届きますように☆ご感想お待ちしております♪ (2005/12/22 19:32)
たばぞう > 「青春小説」ですか!最近「魔王」を読んで衝撃を受けていた私ですが、今度は随分と正統派みたいですね。私も図書館に予約します。 (2005/12/24 15:52)
めみ > たばぞうさん、本書を読んで、やっぱり『魔王』は特別だったんだなぁと再認識しました。私はこちらの方が肩の力が抜けて好きです〜。たばぞうさんのご感想もお待ちしております♪ (2005/12/25 01:57)
posted by めみ at 16:26| 伊坂幸太郎

2005年11月16日

魔王/伊坂幸太郎 ★★★☆☆


思いがけない「力」を手にした兄弟の物語。

想像していたストーリーとは違っていました。
もっと近未来が舞台だと思っていたのですが、環境汚染、病原菌による輸入規制、失業率の悪化、北朝鮮の核の保有など、身近な問題がどんどん提示されています。
うん、これは一緒に考えないといけない。
他人事ではなく、一人ひとりの意識が大切だ。
・・・とは思うのです。しかし・・・。

兄を、共感しにくい極端な人物に設定しているせいか、とても読むのが辛かったです。
それどころか、恐怖を感じてしまいました。
<でたらめでもいいから、自分の考えを信じて対決していけば世界が変わる>
兄の信じる「考え」が一体何だったのか、政治家・犬養を何でそこまで恐れるのかが理解できない。
ただ「ファシズム」だと決めつけ反対してるだけで、結局、兄が世界をどう変えたいのかが、全く伝わってこない。
しかも、「でたらめでもいい」って。
こちらの方が危険思想なのでは。

アンダーソンに降りかかる災いや、ムッソリーニと恋人の終焉のエピソードなど、「ファシズム」の恐ろしさや、それに抗する勇気も描いてあるのはとても効果的だと感じました。
それと対照的な蝋燭のエピソードも。
ここで「統一された行動」の是非を問われることになります。
そして、兄の思想の貧弱さも浮き彫りになります。

世界をどう変えるべきか、など私たちが考えるきっかけになるための作品だと思えば、よく出来ているのかもしれません。
そのための「考えろ考えろ」でしょうし。
彼らは「流されている」私たちに対して警告を発しているのですね。
それでも、私の読後感は「犬養のような政治家が出てきて欲しい」なのですが・・・。

この兄弟を「魔王の恐怖を父親に訴える子ども」に例えるにしても、やはりそれが本当に「魔王」なのかどうかわからない。
ただの「霧」や「枯葉の音」なのかもしれない。
それよりも、具体的な反論も持たずに漠然と力を使う彼らの方が、よほど「魔王」に思えました。

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ココ > 私も、兄の考えていることが理解できず、どう読んでいいのかわかりませんでした。弟についても、そこまで突き動かす動機が特定できなくて……。でも、読み終えて何かずっと考えてしまうような物語で。ところで、この本を読んで、シューベルトの魔王をすっかり忘れていたため、ちゃんと聴きたくて、図書館でCDを借りてきました。聴きながら兄の「魔王」の方をまた読みたいなーと思いました。 (2005/11/20 01:03)
めみ > <内容に触れます。>ココさん、再読してみました。よく考えると犬養を守り、抗う者を次々死に至らしめるマスターの方が「魔王」なのかもしれませんね。兄が最後に「弟に何か残さなくてはいけないのでは」と考えた結果、弟は力と共に兄の思想も受け継いだのでしょうか。お金を貯めて、兄とは違う手段(選挙活動??)で立ち向かうことにしたのかしら?このあたりはわからなかったなぁ。でも兄よりは許せるかな。私は「力」に悩み苦しむ姿を描いた作品(宮部さんの「龍は眠る」など)が好みなので、ポンポン無邪気に力を使う彼らに抵抗があったのかも知れません。これはこれで、ものすごく伊坂さんっぽいのですけどね。図書館でCDも借りれるのですか!いいですね! (2005/11/20 10:54)
posted by めみ at 16:06| 伊坂幸太郎

2005年09月26日

死神の精度/伊坂幸太郎 ★★★★★


まず、目次の試聴機の周りに置いてあるCDのタイトルにニヤリ。
う〜ん、凝ってるなぁ。

表題の「死神の精度」は、以前アンソロジーで読んでました。
まさか、死神シリーズになってるとは思わなくてびっくり。
でも確かに魅力的なキャラかも。千葉さん。

どのストーリーも、大好きです。
千葉のポリシーは、「律儀に仕事をすること」。
時にはやくざの殴り込みを手伝ったり、殺人者の逃避行に付き合ったり。
たいした調査もせずに、結果を報告する死神もいる中、彼が担当した人々は幸せだったのかもしれません。

千葉が持っているラジオを、他の死神が羨ましそうに指をさすシーンがとても愛らしい。
CDショップにぞろぞろ集まってる姿も、想像すると面白いなぁ。
千葉の純粋な探究心と大真面目な発言に、相手がペースを乱されるシーンは、度々吹き出しそうになりました。
あと、「死神」が蔑称であることに驚きました。
「神様には違いない」って開き直ってるあたり、彼らにとっては不本意なのね。

それぞれの結末についての予想が、良い意味で裏切られました。
まるで、突然ラジカセの電源をOFFにしたかのような、潔い結末。
その後、どうなったのかは、読み手の想像次第。
ハッピーエンドでも、そうでなくても、強い余韻が残ります。

伊坂作品で、初めて読んだのが「重力ピエロ」なのですが、これがどうも苦手で。
何がダメだったのか、さっぱり思い出せないので、作風に慣れていなかっただけなのかも。
「旅路を死神」でゲスト出演している彼を見つけて、再読しようと思いました。
今なら、違う感想をもてそうな気がします。
posted by めみ at 15:29| 伊坂幸太郎