2008年07月10日

爆発的〜七つの箱の死〜/鳥飼否宇 ★★☆☆☆


綾鹿市の大物実業家・日暮百人は、引退生活を送るにあたり、奇妙な私設美術館を建てさせた。
館内に気鋭の現代芸術家六人がそれぞれのアトリエを構え、その美術館に展示する作品を創作する。
日暮と、その友人であり美術評論家の樒木侃だけが作品を鑑賞できるのだ。
しかし、最先端をいくあまり、狂気すら漂わす彼らの芸術に触発されたのか、美術館では、奇想天外な殺人が次々と起こる。(Amazon内容紹介より)


う〜ん、前衛芸術はやっぱり苦手。
それでも『痙攣的』のような読後感を味わいたくて読み進めましたが、最後まで好みではありませんでした。

前衛芸術の迫力が伝わったのは1話目だけで、他の芸術はほぼ説明で済まされているのも物足りなかったかな。
トリックのための設定という軽い印象を受けました。
真相もアンフェア気味で、どれも後味がスッキリしません。
これは残念。
真相に触れています。
posted by めみ at 11:27| Comment(2) | 鳥飼否宇

2008年07月07日

相棒/碇卯人 ★★★☆☆


テレビ朝日の人気刑事ドラマシリーズ「相棒」の待望のノベライズ。
クールで沈着冷静な杉下右京と、熱い正義感の持ち主・亀山薫は、警視庁で2人だけの「特命係」。
右京の深く鋭い推理と、薫の神憑り的な山カンという絶妙のコンビネーションで、様々な難事件を解決していく。
連ドラ化前のプレシーズン3話を収録。(裏表紙より)


<その新しい上司は朝の紅茶をいれているところだった>

「相棒」は土曜ワイド劇場の頃からずっと見ていますが、劇場版やノベライズには興味がありませんでした。
でも、この碇卯人さんが鳥飼否宇さんの別名だと知ったからには読まないと!

「コンビ誕生」「華麗なる殺人鬼」「神々の巣窟」の3話が収録。
ドラマをそのまま小説化しただけなので、少々味気ない印象もありますが、キャスティングをイメージしながら読むとかなりニヤニヤできます。
「相棒」で好きなキャラは「特命係のか〜め〜や〜ま〜」の伊丹刑事なので、あの嫌味っぽさがちゃんと出ていて嬉しかったなぁ。
ドラマでは見られない右京さんの心情も(少しだけですが)描かれていて満足でした。
続編も読むぞ!
posted by めみ at 23:12| Comment(2) | 鳥飼否宇

2008年04月10日

官能的〜四つの狂気〜/鳥飼否宇 ★★★☆☆


変態する変態助教授・増田米尊のストーキング(フィールドワーク)中、ターゲットの女性が公園のトイレで惨殺される。
「唯一の」目撃者・増田の話が事実だとすれば増田以外に犯人がいなくなってしまうのだが・・・。
そこへ増田の助手、変態ウォッチャーの千田まりが、なんと現場に落ちていたという「凶器」を持ってやって来る。
ディスクン・カーの名作になぞらえた四つの事件・・・狂気に、変態数学者ならではの超絶思考で挑む!(本書あらすじより)



<先生は変態ですけれど殺人者ではありません>

あ〜面白かった!
もはや「変態」と呼ばれることに抵抗を感じない増田教授と、彼を観察する学生・千田まり。
教授は興奮すると頭脳が冴え渡るので、ここぞとばかりに罵詈雑言を投げつける谷村警部補。
ず〜っと笑いの止まらない読書でした。

教授が常に妄想状態なので、謎解きもかなりの妄想が入ってしまっているのですが、深く考えなければ結構楽しめます。
真相が一転するのも好みでした。
でも、あのサプライズが途中でわかっちゃったのが残念。
真相に触れています。
posted by めみ at 11:09| Comment(2) | 鳥飼否宇

2007年07月13日

異界/鳥飼否宇 ★★★★☆


明治36年春。
那智勝浦で奇怪な少年の姿が目撃される。
目撃者の証言によると。少年は鳥や兎を襲い、人語を解せず獣のように吼えながら山の中へ逃げていったという。
そのさなか、とある病院で乳児が攫われるという事件が発生。
博物学者・南方熊楠は弟子と共に事件解決へと乗り出すのだが・・・。(帯より)


<世界は名前からはじまるのだ。>

とっても面白かった〜!
鳥飼さんの作品はやっぱり丁寧。
伏線がどれもさりげなさすぎて、全く気付きません。
斬新なトリックはないですし、真相もそれほど驚くものではないのですが、あれやこれやの小道具がたっぷりでニヤニヤしてしまいました。
満足、満足。

帯を見て、鳥飼さんが横溝正史ミステリ賞作家だったことを思い出しました。
それがなかったら、このドロッドロとした真相に引いていたかもしれません。
南方先生の弟子・太一の呼び方が、どんどん変わっていくのが愉快。
この2人の会話は笑わずにいられません。

読後は、最初から読み直すのもいいですね。
一番驚いたのはラスト一行。
まさか、あのお方が登場するなんて!
いや〜楽しい読書でした。

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たかじょう > ほぼ同時に読んでいたのですね〜。ほんと面白かったです!まず「あんぽん太一」に笑ってしまいました。そうそう、あのラスト一行。残念ながら未読で名前しか知らないのですが、本当にサービス満点の作品でした。そういえば横溝賞作家でしたね、私も忘れていました。大賞ではなく優秀賞でしたが。ドロドロの真相や自然との共存、山の民への差別など問題点が浮き彫りにされていましたが、それを粉砕する熊楠のキャラ、とにかく強烈でした。 (2007/07/14 07:04)
めみ > たかじょうさん、そうそう、あんぽん太一(笑)!どんどん出世していくのですよね〜。ラストは意外なコラボに驚きました!太一の膝蹴りや終盤の先生の暴言など、それぞれ見せ場があるのも良かったです。笑いどころが一杯なのに、テーマはものすごく深いのですよね。そのバランスも抜群でした。 (2007/07/14 17:02)
posted by めみ at 23:22| 鳥飼否宇

2006年01月11日

激走 福岡国際マラソン〜42.195キロの謎〜 ★★★★☆


<光ノ射すホウヘタダ走リツヅケル。>

ああもう!感動です〜!

ほとんど予備知識を入れずに読み始めたのですが、まさかこんなお話だったなんて。
終盤うるうるきてしまいました。
鳥飼さんっ、巧すぎます!

同じテーマの『ジェシカが駆け抜けた七年間について』は、もっとマラソン色の強いストーリーだと期待していたぶん残念に思いましたが、今回はその点でも大満足!
マラソンで始まり、マラソンで終わるのです。

走者の感情がたびたび同じ言葉の繰り返しで表現されていて、それがこちらの焦燥感も大いに煽り、もう終始ドキドキの連続です。ああ苦しい!
アイアンマスクと呼ばれるトップランナー、美形のランナー、地元出身のランナー、高齢のランナー、マラソンを諦めた白バイ運転手、そして走者を先導するペースメーカー。
それぞれの想いが錯綜する中、みんな必死にゴールを目指します。
普段、マラソン中継をそんなにじっくり見ることはないのですが、次から見方が変わりそう。

とても爽やかなラストも大好きです!
真相に触れています。
posted by めみ at 16:35| 鳥飼否宇

2005年10月13日

中空/鳥飼否宇 ★★★☆☆


横溝正史ミステリ大賞・優秀賞受賞作です。

第一印象、鳥飼さんの本なのに、別人が書いたのではないかと勘繰ってしまいました。
不条理な物語展開などは無い、正統派のミステリー。
でも、鳥飼作品と思わずに評価すると、こちらの作風も好きです。

まず、この作品に出てくる「竹茂村」の舞台設定がとても魅力的。
薩摩弁が一層、雰囲気作りに役立ってます。
「老荘思想」は、学校で習う程度の知識しかありませんが、故事成句などには興味があるので、本書で語られる逸話はとても楽しめました。

村の名前の通り、物語には竹がめいっぱい出てきます。
先日、クイズ番組で「竹は数十年に一度、花を咲かす」ことを知ったばかりだったので、タイムリーな題材に嬉しくなりました。
「竹取物語」の意外で愉快な解釈も、良かったです。
竹の実なんて、考えたこともありませんでした。
あと、「笑」はなぜ<たけかんむり>なのか?は、謎のまま。気になります。

小道具も、しし罠、日本刀、神社、結界など、不気味で意味深なモノばかり。
あまりコテコテした横溝風作品は苦手なので、少しとぼけたトビさんや、明るいネコのキャラのおかげで、サクサク読み進めることができました。

謎の解明やトリックには、多少強引さがあるかもしれません。
私は終始、雰囲気を重視したので、あまり気になりませんでした。

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ときわ姫 > 私は、鳥飼作品の初期に読んだので、本人とか別人とか思わず、こういうものかと面白く読みました。うんちくがあるのが鳥飼作品かなと、そのとき思ったのを思い出します。強引だけど雰囲気がよい、私もそれが良かったです。 (2005/10/14 09:43)
yukko > めみさん、私は初・鳥飼さんがコレでしたので、徐々に本来の(?)鳥飼さんを知っていっている感じです。「中空」シリーズの「非在」もアクロバティックな謎の解明が良かったです-。 (2005/10/14 11:45)
めみ > ときわ姫さん、私は「痙攣的」の余韻を残したまま着手したので、読み始めは少し意外に感じました。毎回、薀蓄が堅苦しくないので助かります♪鳥飼さんは、奄美大島で植物を観察しながら過ごす、晴耕雨読のライフスタイルだそうですが、何となくその生活が想像できる気がしました。 (2005/10/14 13:08)
めみ > yukkoさんは、デビュー作から読まれたのですね。本来の鳥飼さんはどちらなのでしょうか??この作品が面白かったので、「非在」も期待大です♪時々、このシリーズの続きも出して欲しいです〜。 (2005/10/14 13:19)
posted by めみ at 15:47| 鳥飼否宇

2005年08月30日

痙攣的〜モンド氏の逆説〜/鳥飼否宇 ★★★☆☆


<美とは痙攣的なものである。>

その言葉通り、四、五話で背筋が痺れっぱなしでした。
一〜三話はミステリとしては不満だとしても、それぞれちゃんとオチていたので、「前フリ」だったと判明したときは驚きました。
きっと鳥飼さん、三話目を書き終わった時点で「あっこれは私のカラーではない!」と気づかれたのでは。
そのくらい、読み始めと読後感が全く違います。
まさか・・・まさかモンド氏が○○だったなんて・・・!
もうホント脱力後に大笑いですよ。
同時にちょっと安心感が。

確かに、読み終えるまではものすごく時間がかかりました。
その点で評価が少なめです。
なにぶん、ロックや前衛芸術に無縁なので「芸術と犯罪は紙一重」の例を出される度、うえっとなってしまって。
でも、完読後はそのあたりの嫌悪感なんて飛んじゃいました。
ある意味、試練です。
それを乗り越え、最後まで読んで良かったですよ〜。

*登場人物の名前がやたら不自然だと思ってたら、著名な芸術家やロッケンローラーの名前をもじってるらしいですね。
 凝っているのはいいけれど、判鰤人(ばん・ぶりと)ってのはあんまりです・・・。

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ときわ姫 > がんばって読んで下さって、嬉しいです。半分以上の試練に耐えた人だけが、驚がく、痙攣することが出来るというある意味とんでもない本ですね。 (2005/08/31 15:40)
めみ > ホント完読しないと勿体無いですっ。期待以上の驚きでした。他の作品もチェックしないといけませんね♪ (2005/08/31 17:15)
ココ > あ〜堪え性のない自分が恨めしいです(涙)。最近、面白くなかったり辛くなったら無理に読まない、という方針で読書しようと思っているのが裏目に出ました。せっかくだから今度こそ最後まで読んでみようかな……と思いますが、序盤、我慢できるか不安です。 (2005/09/02 10:11)
めみ > ココさん、私もうえっとなりましたし(笑)そこは強く言えないのですが。鳥飼作品まだ2冊目の私が満足したので、ココさんならさらに楽しめると思いますよ。機会があれば是非! (2005/09/02 11:37)
posted by めみ at 14:51| 鳥飼否宇

2005年08月28日

本格的〜死人と狂人たち〜/鳥飼否宇 ★★★★☆


アンソロジーで短編を読んで以来、気になっていた作家さんです。
この本は理系ミステリということでなかなか手を出せずにいました。
今回、図書館にでんっと置いてあったのと、あまりにも無気力な装丁に惹かれて借りてみることにしたのですが・・・。

これは面白いっ!
(装丁はともかく)もっと堅い話だと思っていたので、十分に気合いを入れて読み始めたのですが、かなり早い段階で力が抜けました。
地の文で「あっかんべー」とか出てくる時点で好感触。
『変態』では学者っぽい知的な変人、をイメージしていたので、増田助教授のド直球の変態っぷりにはのけぞりました。
『擬態』の講義、受けてみたいなぁ〜。
ゼミならともかく、日本の大学の講義でこんなにも質疑応答があるものなのか疑問でしたが、おかげでその分野に全く無知な私でも興味深く読むことができました。
個人的に薀蓄は苦手なのですが、鳥飼さんの説明はとても丁寧でわかり易いです。
何だか得した気分になれました。

あと、こんな形式のミステリを初めて読んだので、レポート課題にびっくり!
読み返しながら、しきりに感心しました。
これには驚いた〜。
『形態』はちょっと勘繰りながら読んでしまったので、主要なトリックは予想できました。
でもベビーカーの謎や名前については上手だなぁと思いました。

三編に通じる警部補と巡査部長とのやりとりが大好き。
特に谷村警部補。
彼の性癖はともかく、親父ギャグで思わず笑ってしまう危険な私。
ラストは油断していたので「前期試験」でまた驚いてしまいました。
『実態』ではメッタ斬りもあり、サービス精神旺盛です。
とても楽しい一冊でした。

お次は、一緒に借りた「痙攣的」に取りかかります。

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ときわ姫 > めみさんはこれが初鳥飼さんでしたか。私は鳥飼さんのファンです。痙攣的は、最初の方と最後では全然違いますから、最初つまらないなと思ってもどうか最後まで読んで下さいね。 (2005/08/28 10:14)
めみ > ときわ姫さん、鳥飼さんのファンだったんですね♪私ももっと早くに読んでいれば良かったなぁ。まだ「痙攣的」のさわりの部分を読んでいるのですが、最後が気になってきましたよ〜。 (2005/08/28 14:06)
ココ > 私もこの本で鳥飼さんのファンになりました。サービス満点でお得な楽しい一冊ですよね。痙攣的は途中断念してしまった私ですが、めみさんの感想を楽しみにしています。 (2005/08/29 11:14)
めみ > ココさんもファンだったのですね!こんなに人気があったなんて。しかし「痙攣的」はココさんが途中断念するほどの内容なのですか(驚)。私は以前アンソロジーでこの本の第一章を読んだ記憶が。だから逆に「本格的」で嬉しい意外性があったのですね。耐性があるおかげで、今のところ特に違和感なく読み進めることができています♪今日中に完読できるかしら? (2005/08/29 13:37)
posted by めみ at 14:49| 鳥飼否宇