2008年09月30日

ガーディアン/石持浅海 ★★★☆☆


幼時に父を亡くしてから、勅使河原冴はずっと不思議な力に護られてきた。
彼女が「ガーディアン」と名づけたその力は、彼女の危険を回避するためだけに発動する。
突発的な事故ならバリアーとして。悪意をもった攻撃には、より激しく。
では、彼女に殺意をもった相手は?ガーディアンに、殺されるのだろうか。
特別な能力は、様々な思惑と、予想もしない事件を呼び寄せる。
石持浅海流奇想ミステリー、開幕。(本書あらすじより)


<ほら、指切りしよう・・・>

2つの中篇のミステリ・・・というより、サスペンスですね。

誰もがガーディアンの存在をあっさり認めるのが不自然だし、動機には全く説得力がないのですが、まだ1話目は人間ドラマとして普通に楽しめたかな。
2話目のストーリーは強烈に変です。完全に血迷ってます。
*戯言(真相に触れています)
posted by めみ at 20:18| Comment(0) | 石持浅海

2008年07月24日

耳をふさいで夜を走る/石持浅海 ★★☆☆☆


並木直俊は、決意した。三人の人間を殺す。
完璧な準備を整え、自らには一切の嫌疑がかからないような殺害計画で。
標的は、谷田部仁美、岸田麻理江、楠木幸。
いずれ劣らぬ、若き美女たちである。倫理?命の尊さ?違う、そんな問題ではない。
「破滅」を避けるためには、彼女たちを殺すしかない…!!
しかし、計画に気づいたと思われる奥村あかねが、それを阻止しようと動いたことによって、事態は思わぬ方向に転がりはじめる・・・。
本格ミステリーの気鋭が初めて挑んだ、戦慄の連続殺人ストーリー。(本書あらすじより)


<だから耳をふさいだ>

読み進めるうちに、西澤保彦さんの作品と勘違いしそうになりました。
エロ&グロ&バイオレンスな雰囲気です。

『セリヌンティウスの舟』のように、全ての登場人物が特殊なルールに基づいた思考回路をしているので、とっても困りながらの読書でした。
てっきり計画的に犯行を進めていくのかと思いきや、不測の事態により、大至急3人の女性を殺害しなくてはならないという展開は意外でした。
殺害の動機がなかなか語られないので、「もしかしてSF?」とか予想していたのですがこれもハズレ。
ある意味、SFの方がスッキリしたかも・・・。

帯によると、「意図的に」犯人の視野の狭さと身勝手さを描いたということですが、これが一番驚きました。これまでは意図してなかったのかしら。
真相に触れています。
posted by めみ at 17:30| Comment(0) | 石持浅海

2008年05月29日

賢者の贈り物/石持浅海 ★★★☆☆


古今東西の古典・名作が、現代に蘇る・・・。
フイルム・カメラから、デジタル・カメラに切り替えた私に、妻がプレゼントしてくれたのは「カメラのフイルム」だった!?私がフイルム・カメラを使用していないことは、妻も知っているはずなのになぜ? (表題作・賢者の贈り物)
本格推理の新旗手が、軽妙、洒脱に古典・名作に新たな息吹を吹き込んだ意欲作10篇を収録する。(PHP研究所サイトより)


<僕は頭を抱えた。面倒くさい>

名作をモチーフにした10篇。

シチュエーションが面白いと思っていたら、えらく気恥ずかしい結論に辿り着いてしまった『可食性手紙』
真相はもはや何だっていい『玉手箱』
一番気に入った結末だけれど、藤原さんの推理が酷すぎる『泡となって消える前に』

些細な謎と真相は、このくらいの短さで語られるのがちょうど良いです。
どれもザックリとしたロジック(妄想?)ですが、『Rのつく月〜』よりも違和感がなく読むことができました。
色んなキャラクターの磯風さんを楽しむのもいいかも。
posted by めみ at 09:20| Comment(0) | 石持浅海

2008年05月09日

君の望む死に方/石持浅海 ★★★☆☆


臓ガンで余命6ヶ月・・・。
(生きているうちにしか出来ないことは何か)
死を告知されたソル電機の創業社長日向貞則は社員の梶間晴征に、自分を殺させる最期を選んだ。彼には自分を殺す動機がある。
殺人を遂行させた後、殺人犯とさせない形で・・・。
幹部候補を対象にした、保養所での“お見合い研修”に梶間以下、4人の若手社員を招集。日向の思惑通り、舞台と仕掛けは調った。
あとは、梶間が動いてくれるのを待つだけだった。
だが、ゲストとして招いた一人の女性の出現が、「計画」に微妙な齟齬をきたしはじめた・・・。(帯より)


<これは、ある意味親心だ>

『扉は閉ざされたまま』の続編で、今回も名探偵役は碓氷優佳。
どちらかというと、『扉の〜』の方が好きかもしれません。
前作では緊張感たっぷりの心理戦が楽しめたけれど、今回は退屈でした。
設定はとても面白いのに、動機は単純だし、社長と梶間の想いはしっかり通じ合っているし、2人とも冷静だし・・・。
中盤、社長の計画が狂い始めてからは面白くなったけれど、優佳への嫌悪感は増す一方。
梶間と女子社員をくっつけようとする様子にイラッとしたり。
もっと気の利いた方法があるだろうに・・・露骨なんですよね。

気持ち悪い雰囲気は漂っていたけれど、そこまでのパンチ力はないかな〜と油断してたら、終盤で社長のとんでもない思惑を知ることに。
ひゃ〜これは強烈だ〜。

うーん・・・。きっと、ロジックだけに注目すれば楽しめるのでしょうね。
お見合い研修といい、部屋の配置といい、変な会社だな〜とか。
梶間の復讐心にあまり説得力ないな〜とか。
相変わらず、優佳の推理力、すごーい。←棒読み。
ええと、優佳は宇宙人ではないんだよね?とか、考えちゃいけないんだろうなぁ。

ラストは好みでした。スッキリしないけれど。
真相に触れています。
posted by めみ at 16:13| Comment(0) | 石持浅海

2008年01月09日

温かな手/石持浅海 ★★☆☆☆


大学の研究室に勤める畑寛子の同居人・ギンちゃんは名探偵。
サラリーマンの北西匠の同居人・ムーちゃんも名探偵。
人間離れした二人は、彼らが遭遇した殺人事件や騒動を、鮮やかに解き明かす!
一風変わった名探偵とそのパートナーが活躍する、著者渾身の連作集。(本書あらすじより)


<その意味を考えれば、犯人はわかります>

評判が良いみたいですが、私は苦手でした〜。

毎回、「優秀な頭脳を持った人間」の登場に違和感がありましたが、なんと今回は「優秀な頭脳を持った宇宙人」が登場。
作中に「宇宙人だから死体を見ても平気」とか「感情に疎い」とあるけれど、これまでの名探偵役の思考回路が、すでに人間的じゃないので、何も特別に感じませんでした。

真相に納得できたのは「白衣の意匠」だけかな。
「大地を歩む」なんて、もう脱力。

ギンちゃんやムーちゃんの特殊能力は、「綺麗な魂を持つ人間の生命力を吸い取る」こと。
それによって相手の寿命が縮むことはなく、カロリーを消費させたり、興奮状態を沈静化させる効果があるのです。
事件の推理には全く役に立たないので、読み進めるうちに、「宇宙人」という設定は必要だったのか?と疑問に思いましたが、ラストはなかなかグッときました。
それまでが伏線だと思えば、良いかな。

しかし・・・。
寛子の場合、食費は相手持ちでたらふく食べて、かつ太らないというメリットだらけ。
一方、北西の場合、ムーちゃんは学生なので養わなくてはならないし、いくら可愛くても恋愛感情は持てないし不公平だな〜と、その点ばかりが気になりました。
posted by めみ at 17:59| Comment(0) | 石持浅海

2007年11月02日

心臓と左手/石持浅海 ★★★☆☆


警視庁の大迫警視が、あのハイジャック事件で知り合った座間味くんと酒を酌み交わすとき、終わったはずの事件はがらりと姿を変える。
これが、本格ミステリの快楽だ!
切れ味抜群の七編を収録。


悪評高き『月の扉』は、なぜか今でも大好きな作品。
でも、座間味くんが嫌いだったことを忘れてた・・・。
再登場かぁ・・・。

今回も安楽椅子探偵ということで、『Rの月〜』と同様、全く気持ちがついていかないロジックが繰り広げられます。
どうにも説得力に欠けてて、「本当に合ってるの?」と疑ってしまうのですよね。

鮮やかだと思ったのは表題作のみ。
新興宗教とミステリって相性良いのかも。
すぐ騙されてしまう。
でも、こんな話題でよく食事ができるなぁ。

最終話「再会」では、『月の扉』のハイジャック事件の関係者が集合するのですが、細かい設定を全て忘れてました。
とにかく、主人公の従姉の訴えに「ハァ?」。
もう、因縁をつけているようにしか思えない。
この話だけ、趣が変わっていたので、何かサプライズが仕掛けられているのかと思いきや、ただ後味が悪くなっただけでした。
がっかり。
posted by めみ at 23:18| Comment(0) | 石持浅海

2007年10月03日

Rのつく月には気をつけよう/石持浅海 ★★★☆☆


夏美、長江、熊井は学生時代からの飲み友達。
社会人になった現在でも、機会があれば集まって飲んでいる。
そして、毎回、誰かの友達をゲストとして招き、目新しい話題などで盛り上がるのだ。
主に、ゲストの悩みを解決したり、謎の真相を見抜くのは、悪魔が裸足で逃げだすほどの頭脳を持つ長江。
小粋なミステリー連作短編集。


出た〜。石持作品ではおなじみの、「優秀な頭脳の持ち主」!!
もう鼻につくどころの問題じゃなくて、最初から最後までイライライライラ・・・。

表題作はアンソロジーで読んでました。
このタイトルは「カキを食べるのはRのつく月にしろ」という意味。
12ヶ月を英文で表記すると、9月から翌年の4月までの綴りにRがつく。
カキはそんな涼しい時期に食べると安全だよ、という先人の知恵とのこと。
いや〜全く知りませんでした。
私は食べ物の好き嫌いがほとんど無いのですが、貝類だけはどうしてもダメなんですよね(理由:砂が入ってるから)。

第1話・・・ウイスキー&生ガキ。
第2話・・・ビール&チキンラーメン。
第3話・・・シャルドネ&チーズフォンデュ。
第4話・・・泡盛&豚の角煮。
第5話・・・日本酒&ぎんなん。
第6話・・・ブランデー&そば粉のパンケーキ。
第7話・・・シャンパーニュ&スモークサーモン。


各話にお酒と肴が出てきます。
ごく普通の肴が多いですが、そば粉のパンケーキは美味しそう。
ブランデーと合わせてみたいなぁ。
不思議に感じたのは、第2話。
ゲストがチキンラーメンを肴に飲むと聞いて、夏美たち3人が驚くのですが、
「ベビースターラーメン」が存在する限り、そこまで意外なことじゃないと思うんだけど・・・。
確かに味は濃いだろうけど・・・。

とにかく、毎回招いたゲストがふと洩らした言葉から、揚げ足を取るかの勢いで、
根掘り葉掘り聞き出す行為は、あんまり趣味が良いとは思えない。
この飲み会、参加したくないわぁ〜。
なんでそこまで気にする??と疑問なほど、ささいな一言なんですよ。
いくら日常の謎ミステリだからと言っても、規模小さすぎ。
そのくせ、「○○(ゲスト)くんは、難しく考えすぎだよ。すべての行動に意味やメッセージが含まれていると考えていては、相手が気の毒だ。(by長江)」って。オイオイ。

優秀な長江が気に入らないのではなく、「優秀だ〜優秀だ〜」と幾度も褒め称える地の文が鬱陶しい。
腹を立てつつ読み進めるも、推理はいたってシンプルかつ強引だし、あまり面白くない。
久々に途中で断念しそうになりました。

でも、最終話で思わぬ大仕掛けが炸裂!
いや、びっくりした!!
他のサイトでは、「非常に解り易い。バレバレ。」とあるので、引っ掛かったのは私だけ??
かなりの衝撃でした。
ラスト一行も気が利いていて、読後感はとても良かったです。
最後まで読んで良かった!
真相に触れています。
posted by めみ at 19:50| Comment(0) | 石持浅海

2007年06月28日

人柱はミイラと出会う/石持浅海 ★★★★☆


留学生リリー・メイスは、日本で不思議な風習を目にした。
建築物を造る際、安全を祈念して人間を生きたまま閉じ込めるというのだ。
彼ら「人柱」は、工事が終わるまで中でじっと過ごし、終われば出てきてまた別の場所にこもる。
ところが、工事が終わって中に入ってみると、そこにはミイラが横たわっていた。(帯より)

「人柱はミイラと出会う」
「黒衣は議場から消える」
「お歯黒は独身に似合わない」
「厄年は怪我に注意」
「鷹は大空に舞う」
「ミョウガは心に効くクスリ」
「参勤交代は知事の務め」


<僕の仕事ですか。ええ、人柱です。>

うっわ〜!これは楽しい!
舞台は日本なのですが、これがちょっと変わったパラレルワールド。
基礎工事が終わるまで地下に潜る人柱や、議員の側で政治活動の補助を行う黒衣。
既婚女性が習慣とするお歯黒、厄年の間は必ず休まなくてはいけない厄年休暇。
警察に協力する鷹匠、嫌な事を忘れるためのミョウガ、そして参勤交代。

こんな風習が普通に行われている世界なので、アメリカ人のリリーと同様、読者も一話ごとに驚かされます。
でも、決してふざけている訳ではなく、それが本来持つ意味を大切にしている点に好感が持てるのです。
リリーの友人・慶子の「そうか、リリーは日本に来て間もないから知らないのね。」との言葉がとてもおかしい。
このキャラクターの設定も上手いのですよね〜。
確かに変わった設定だけれど、そこから導き出される真相は明確で、ミステリとしても読み応えがあります。
途中から失速しましたが。

こういう明るい作品だと、今まで気味が悪く感じていた石持的解決策もすんなり受け止められます。
そして最終話のオチが素晴らしい!なるほどね!
ぜひ、『時効警察』のノリで映像化して欲しいです。

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じょせ > はじめまして、じょせと申します。
この本はとても気になります。リアルでありそうでない、という話なのでしょうか?ミステリー?ファンタジー?興味をそそられます。 (2007/06/29 12:43)
めみ > じょせさん、はじめまして☆この作品は、日本の古い習慣が(少しアレンジされた状態で)現在も行われているという設定なのです。お歯黒や人柱などが「日常」の世界です。ジャンルは不思議系ライトミステリですかね〜。(バカミスかも?)評判も良いみたいですし、じょせさんも機会があればぜひ♪ (2007/06/29 16:49)
カクテキ > はじめまして。こういう設定に凝ったものは大好きです。とりあげられている風習が今の世界にありそうにアレンジされているのがポイントですよね。とても楽しめました。
ミステリとしては途中から???でしたが、めみさんもそう感じておられるのならそれで正解なのですね。この本は設定を楽しむ本なのだなあ、と思います。石持さんの本はお初でしたが他のものは気味悪いのですか?それなら読んでみないと(笑)。 (2007/08/05 13:30)
めみ > カクテキさん、はじめまして☆楽しい作品でしたね〜。ミステリとしては、最初はこの設定でしかありえないトリックだったのが、だんだんその必然性がなくなってしまったように感じました。う〜ん残念。
でも、今までの石持作品からは想像できないくらい、ライトな雰囲気なのですよ。私はそれだけで満足しちゃいました(笑)。つづきはカクテキさんの日記で・・・。 (2007/08/05 21:11)
posted by めみ at 23:16| 石持浅海

2006年10月19日

顔のない敵/石持浅海 ★★★★☆


対人地雷をテーマに描かれた6つの短編&デビュー作。

対人地雷にも1997年の全面禁止条約にも全く無知な私ですが、意外に楽しめました。
石持作品では動機や登場人物に共感できないことが多々あるので身構えていたのですが。
これは事件そのものが面白く、議論も簡潔で興味深いものばかりでした。
ミステリに絡めながらも、地雷の危険性や救援活動が抱える問題など、うるさくない程度に提起しているので読みやすかったです。

どれも初期の作品だということで、レベルの高さにびっくりなのですが、現在の作品で感じるモヤモヤ感もギュッと凝縮されています。
罪を犯した人物を見逃したり、素晴らしい頭脳を褒め称えたり・・・。
ほんと短編で良かった。

事件発生年がバラバラなので、1話目で殺害された人物が後で登場したりします。
時系列どおりに読むと結構キツイものがありますね。
地味ながらも『トラバサミ』が一番好きです。
1つのトラバサミで日本に(警察に対して)地雷原を再現できるという解釈が見事でした。
posted by めみ at 22:01| 石持浅海

2006年01月02日

セリヌンティウスの舟/石持浅海 ★★★☆☆


2年前、石垣島でのダイビングツアーで遭難した6人・美月、清美、麻子、三好、礒崎、児島は、それ以降、信頼で結ばれた、かけがえのない仲間になった。
そんな彼らを突然襲った美月の自殺。
彼女の死の意味を考えるために集まった5人は、美月が飲んだ青酸カリ入りの小瓶のキャップが閉められていたことに疑いを持つ。
彼女の自殺には協力者がいるのか?


題名のセリヌンティウスとは、太宰治『走れメロス』でメロスの身代わりになった友人の名前です。
重要な役どころにも関わらず、全く名前が記憶にないなんて寂しいですね。

この作品内では、「自殺した美月=完走したメロス」、「自殺に至るまでの心境や方法を考える5人=セリヌンティウス」と例えてますが、これが上手いんだかそうでないのか。
大体、協力者がいるのでは?と疑う根拠からして、あまり魅力を感じないのですよ。
小瓶のキャップがなぜ閉められていたのか、とか、なぜ小瓶が倒れていたのかとか、私がメンバーの1人だったら、完全に見過ごしたでしょうね。
作中でも「考えすぎだって」という台詞が頻繁に出てきますが、まさにその通りだと!
あと、他殺の可能性を全く考えないのもどうか。
ミステリなので、てっきりその流れになるのだと最後まで期待しちゃいましたよ。
その不満を解消するべく登場するのが、彼らの「信頼関係」なのですが・・・。

彼らは2年前、ダイビング中に遭難し、お互い支え合った経験から、当時ほぼ初対面に近い6人が「固い信頼」で結ばれたわけですね。
死と隣り合わせの状況で手を取り合い輪になって漂流する(この輪を「舟」に例えるのは良い!)・・・そこで生まれる絆。
これは経験がない人にはあまりピンとこない状況ではないでしょうか。
少なくとも、ダイビング経験ゼロ、シュノーケリング経験1回の私に感情移入は絶対無理。

しかし、この設定が作品全体の主軸となっているので、受け入れられないと非常に辛い。
2、3ヵ月に1度、海へ行く時に顔を合わせるだけの仲間なのに、「美月はこうするはずだ」「私たちの誰かがそんなことするはずがない」と断言するのですよ。みんな。
(それほど理解してるのに、美月が思いつめていることを誰も気付かなかったのですよね・・・)
そして、協力者がいても、殺人者がいる可能性を考えない理由は、あの遭難時に心を1つにした仲間を殺せるはずがないから。
しかし、主人公の児島がこっそり仲間の1人と交際してる時点で、他のみんなも隠れてゴタゴタしているとか、疑いを持たないものかなぁ。
こんな「信頼関係」を基に「どこまで信じるんだ!」とイライラするロジックが延々続きます。

石持さんは毎回、独特の状況や動機をテーマにロジックを展開していくので、スッキリせずとも斬新さが楽しめたのですが、今回の読後感は「海で遭難した仲間の信頼関係って凄いんだなぁ」という、ただそれだけ。
『月の扉』のように、部外者の介入があればまた違ったのでは・・・。
うーん・・・次回作に期待します!

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たかじょう > あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします♪
さて、読まれたのですね〜。私は一回図書館で見て、少し考えてスルーしました(笑)。あ〜、やっぱり今回も「キレイ」なのですね。う〜ん、悩むなぁ。とりあえず『扉〜』を読んでからどうするか決めることにします。 (2006/01/02 21:56)
めみ > たかじょうさん、本年もよろしくお願いいたしますっ(*^_^*)
この本は、あまりオススメできないです〜。感情に任せたロジックなので、枚数は少ないのにイライラし通しでした。石持ワールドは独特ですし、『水の迷宮』がイマイチでしたら、『扉〜』もお気に召されないかもしれませんが、ご感想お待ちしております♪ (2006/01/02 23:30)

posted by めみ at 16:30| 石持浅海

2005年09月02日

水の迷宮/石持浅海 ★★★☆☆


羽田国際環境水族館で深夜、社員である片山が不慮の死を遂げる。
それから三年後の命日、館長宛てに携帯電話が届けられる。
メールが届く度に、その内容に沿った方法で水槽に攻撃が仕掛けられていく。
そして、とうとう殺人事件が・・・。


水族館が舞台ということで、全体的に澄んだ雰囲気を感じました。
石持さんの描く登場人物の会話シーンはとてもイキイキしていて、読んでいるこちらも楽しくなります。
そして、飼育員たちが展示生物をどれだけ愛しているか、仲間をどれほど大切に想っているか、がしっかり伝わってきます。
心から信頼し合えている彼らがとても羨ましく思えました。

ただ、またしても気になる点が。
まず『扉は閉ざされたまま』でも感じたのですが、探偵役を褒めすぎ。
なんだか続けて2作品読むと、鼻についてしまって・・・。
それとも、ロジックの展開に必要な設定なのかしら。
そして、これも『扉は〜』同様、殺人を犯す必然性がどこにあるのかさっぱり。
それは「夢」とか「正義感」とか出せばいいってものじゃないと思うし。
確かに、大事件がなかったらインパクトに欠けていたかもしれないけれど、こういうラストにするのだったら、殺人はない方が良かったです。

そして犯行動機を知ってしまうと、登場人物の印象がガラリと。
とってもいい人だと思っていたのに、実はそうでもなかった、とか。
これはヘコみます。
夢を実現するための手段はとても許せないし。
その想いはわかるけど、方法を完全に間違ってます。
それとも、もう見境がなくなってしまっていたのか。

読んでいる間は楽しかったのですが、細かいことがいろいろ気になり、あまり良い読後感ではなかったです。
この本には石持さんの水族館に対する思い入れが書かれたサブテキスト(写真あり)が付いてました。
やはり毎回、特殊な現場を舞台にしたいと考えているそうで、その試みはとても興味深いのですが・・・。

写真を見て、「ああ、やっぱり男性だったんだなぁ」と再確認。
雰囲気が三谷幸喜氏に似ているような。

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たかじょう > めみさん、こんばんは!わたしも読みましたが、どうも馴染めませんでした。登場人物はいきいきしてて、楽しい雰囲気だったのに。そして、三谷さん。似てますよね(笑)。 (2005/09/02 22:40)
めみ > たかじょうさん、こんばんは!キャラクターは良かったんですけどね〜。なんだか無理矢理なストーリーになっちゃった感が。三谷さん、わかって頂けましたか〜(笑)! (2005/09/02 23:26)
posted by めみ at 14:55| 石持浅海

2005年08月13日

扉は閉ざされたまま/石持浅海 ★★★☆☆


大学の同窓会で高級ペンションに7人の旧友が集まる。
伏見亮輔は以前から後輩の新山の殺害を計画、当日ペンションの一室で実行に移す。
部屋にはトリックで鍵をかけ、完璧な事故死として皆を欺くことができるはずだった。
しかし、一人の女性が疑問を抱いたことにより、閉ざされた扉を前にして頭脳戦が始まる。


「アイルランドの薔薇」や「月の扉」でもたっぷり堪能したのですが、今回もロジックがどんどん展開されていきます。
あまり頭を使わずに本を読みたいので、難しいロジックは遠慮したいところなのですが、石持さんの本は毎回読んでしまいますね。
密室を破れない理由が「高価な扉だから(中が切羽詰った状況だと決まった訳ではないのに)壊してまで入るというのはどうか」との「常識」だというのはとても斬新なアイディアだと思いました。
中に入れないので状況が解らない仲間たちの楽天的な言動と主人公の少しピリピリした心境とのギャップが面白いです。

ただ、どうも作者が探偵役の女性をホメすぎ(笑)。
「彼女の頭脳は超一流」のような表現が、あれこれ言い回しを変えて出てくる出てくる。
そのおかげで、「探偵役である彼女の言うことが全部正しい」と刷り込まれてしまい、ロジックはあまり突っ込んで考えられなかったなぁ。
もちろん緻密に作られているとは思うのですが。
あと最終的に明かされる動機で、私が抱いてた主人公のイメージが一変してしまいました。
そんな動機だったら、殺さなくても他に手段があったはずです。
主人公も探偵役の女性と張り合うほどの「頭の良い人」なんだから、こんな短絡な行動に走らなくても・・・。

私が気に入らないのは、被害者が自分の殺される理由を知らないまま死んでしまった、というところですかね。
いくつか引っかかるところはあるけれど、全体的には楽しく読めました。
次回作も楽しみです。
posted by めみ at 19:20| 石持浅海