2008年07月22日

警視庁特捜班ドットジェイピー/我孫子武丸 ★★★☆☆


警察のイメージアップを図るため、日本のお偉方たちは、安易にも戦隊ヒーローブームにあやかり「警視庁戦隊」を作り、広報活動をさせることにした。部隊名は「警視庁特捜班ドットジェイピー」。
ジェイピーはジャパニーズポリスの略。ドットが付くのは、なんか今風だから。集められたのは、性格に大きな難があるものの、格闘、射撃、コンピュータなどの達人にして美男美女の五人の警官。
しかし、彼らを逆恨みする犯罪者が現れて・・・。
戦え! ドットジェイピー!世間の眼に負けるな! ドットジェイピー!
浅はかで投げやりな平成ニッポンを照射し笑いのめす怪作、誕生! (帯より)


<お巡りさんってかっこいいよね?>

面白かったです。
カバーイラストから想像できる通り、終始マンガチックなノリなのですよね。
キャラクターは立っているし、文章はユーモアたっぷりだし、あっと言う間に読み終えました。
事件そのものはショボイので、雰囲気を楽しめないとツライかも。
個人的にはこれはただのツカミで、続編からは謎解き要素が濃くなるのでは・・・と期待しているのですが・・・。
posted by めみ at 18:45| Comment(0) | 我孫子武丸

2007年12月19日

狩人は都を駆ける/我孫子武丸 ★★★☆☆


京都で探偵事務所を営む私のもとに久しぶりに持ちこまれた依頼は、何と誘拐事件。
「雷蔵はあずかった。1000万円用意しろ」との脅迫文が届けられたのだ。
もっとも、雷蔵とは家で飼われているドーベルマン。つまりは犬の誘拐事件なのであった……。
ほか、野良猫連続殺猫事件やドッグショーの警備など、なぜか動物絡みの依頼ばかりが次々に舞いこんで……。
端々に描かれる古都の風物。小気味よい関西弁とユーモアあふれる会話の応酬。
新本格ミステリの実力派がおくる、心あたたまるペット探偵ユーモア・ハードボイルド。(文藝春秋内容紹介より)


<生活の困窮はユーモアを錆つかせる>

久しぶりの我孫子作品。1編の中編と4編の短編が収録されています。
ハードボイルドタッチなのに仕事内容は主にペット探しとくると、荻原浩さんのハードボイルド・エッグシリーズを思い浮かべますが、こちらの探偵は動物嫌い。
それなのに、探偵事務所の向かいで動物病院を開業する沢田の紹介で、依頼人は全員「ケモノ絡み」の相談で訪れるのです。

文章がユーモラスだからといって軽く読み始めると大間違いで、イヤーな真相が多いです。この作品。
表題作の「狩人は都を駆ける」なんて、現実感がありすぎて大打撃を受けました(一番面白かったけれど)。
「野良猫嫌い」も、全く想像していなかった動機にゾ〜ッ。
どの作品もストレートに終わるのではなく、ちょっとしたヒネリがあるところが我孫子さんらしいです。
最終章「黒い毛皮の女」のラストでの、主人公の心の変化が微笑ましいです。
posted by めみ at 19:20| Comment(2) | 我孫子武丸

2005年08月10日

弥勒の掌/我孫子武丸 ★★★★☆


3年前に女生徒と不祥事を起こした高校教師の辻は、それをきっかけに妻とは不仲になっていた。
ある日仕事から帰宅すると妻がいない。
ついに家出かと放っておいたところ、失踪を怪しんだ妻の友人の通報により警察に疑われて窮地に追い込まれる。
一方、ベテラン刑事の蛯原の妻がホテルで遺体となり発見される。
おまけに蛯原には汚職の疑いをかけられていることも発覚。
愛する妻を殺されて仇をとりたいのに表立った捜査が出来ない蛯原。
愛情はないが自分の嫌疑を晴らすため、どうしても妻を捜さなくてはいけない辻。
それぞれの妻に共通するある新興宗教団体を二人で探っていくのだが・・・。


我孫子さん、「殺戮にいたる病」から13年ぶりの書き下ろし長編ということです。
「〜の殺人」や「人形は〜」シリーズが大好きだったのですが、新刊を読むのはかなり久しぶりだったので、ちょっと不安になりながら読み始めました。
しかし、感想を一言で言いますと、面白かった!
本当に読みやすいんですよ、文章が。
直前に読んだのがチンプンカンプンの難解小説(注:乾くるみ「匣の中」)だったので、尚更ありがたくって涙が出ました。

そして真相にはびっくり!
最初の方で「これは伏線かも・・・」とチェックしていた箇所はあるのですが、こんな風につながるとは思わなかったです。
一つ目の真相はなんとなくヨメてしまい「まさかこれがオチなのでは・・」とガッカリした途端、二つ目の真相で見事に驚かされました。
多少、動機の弱さとか所々ムリヤリっぽさも気になったりするんですけどね。

あと気になった点といえば、サクサク読めてかつ短いので、あとがきに作者も書いている通り、ちょっと「物足りない」かな?と感じました。
うまく言えませんが「驚いたけどそれだけ」みたいな。
もう少し余韻のようなものが欲しかったかも。
でも、いくらなんでも強引すぎるといわんばかりの傍若無人な蛯原や、「こんな旦那絶対イヤ」と断言できるくらいのダメ人間な辻(そらエエ友達になれるわアンタら・・・)に終始ムカつきましたので、人物は描けていたのではないでしょうか。感情移入は無理ですが。

よく考えると相当後味の悪いラストなんですが、普通にサラッと流せてしまえるところは怖いかも。
posted by めみ at 21:41| 我孫子武丸