2010年02月04日

ジョーカー・ゲーム/柳広司 ★★★☆☆


結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。
「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。
軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。
だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。(帯より)


<――とらわれるな>

表題作は設定を巧く生かしていて、とても面白かったです。
(佐久間はずっと登場するものだと思っていたので意外でした。)
それぞれ状況の異なる飽きのこないストーリーは見事なのですが、短編の物足りなさも感じてしまいました。
スタイリッシュというより、単に味気ない印象。
もう少し、読み応えが欲しかったです。
posted by May at 12:47| 柳広司

2010年01月27日

球体の蛇/道尾秀介 ★★☆☆☆


呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―。
1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。
乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが・・・。(帯より)


<誰も悪くないよ>

第一章のサヨのエピソードは本当に魅力的でした。
彼女が最後までしっかり描かれていたなら、ミステリじゃなくても満足できたかもしれません。
真相も、もう少しガツンときて欲しかった。
*ヒトコト(真相に触れています)
posted by May at 14:02| 道尾秀介

2010年01月21日

私の家では何も起こらない/恩田陸 ★★★★☆


この家、あたししかいないのに、人がいっぱいいるような気がする・・・。
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。この家は、時がゆっくり流れている。幽霊屋敷と噂されるその家にすむ女流作家は居心地のよいこの家を愛している。
血の海となった台所、床下の収納庫のマリネにされた子どもたち・・・いったいこの家にはどんな記憶が潜んでいるのだろう。
幽霊屋敷に魅了された人々の美しくて優雅なゴーストストーリー。(amazon内容紹介より)


<――そうだ、それほど、ここは生々しい>

恩田作品の魅力満載。

お気に入りは、乙一っぽい雰囲気の「私は風の音に耳を澄ます」、会話のセンスが光る「あたしたちは互いの影を踏む」、哀しいストーリーだけど読後感の良い「素敵なあなた」、少しずつ歪んでいく「私の家へようこそ」
「俺と彼らと彼女たち」は、少しテイストが異なっていてホッとします。

あ、附記は無くてもいいかな。
posted by May at 11:28| 恩田陸

2010年01月18日

武家屋敷の殺人/小島正樹 ★★★★☆


探偵役は、若き弁護士とリバーカヤック仲間のフリーター。
孤児院育ちの美女が生家探しを弁護士に依頼に来て、手がかりは捨てられたときに残された日記くらいだと言う。
具体的な地名はいっさい出てこない代わりに、20年前の殺人と蘇るミイラの謎が書かれた日記をもとに調べ当てると、思わぬ新たな殺人が起こる。
最後のどんでん返しまで、目が離せないジェットコースター新感覚ミステリー。(本書あらすじより)


<それでもきっと  最愛の人>

「細かっ!」とツッコミたくなるほどの緻密なプロットに、しつこいほどのどんでん返し。
贅沢尽くしの作品でした。
もちろん、最後の真相に一番驚きましたよ。

不満は、前作と同じくキャラクターが0点なこと。
弁護士・川路の「○○っす」という口調が、最後まで気になって仕方なかった・・・。

でも、これからも目の離せない作家になりそうです。
*ヒトコト(真相に触れています)
posted by May at 21:23| 小島正樹

2010年01月07日

Another/綾辻行人 ★★★☆☆


その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。
1998年、春。夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。
不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。
そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げた!
この“世界”ではいったい、何が起こっているのか?
秘密を探るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける・・・。(帯より)


<吸い取られていくみたいに感じない?>

ホラーですが、それほど怖くも気持ち悪くもなく、ミステリーランドかと錯覚しそうなくらいのんびりとした雰囲気でした。
表紙のイラストが一番怖かったです。

重要な情報の途中で携帯が鳴ったり、誰かに呼びかけられたり、「ものごとを知るにはタイミングが重要よ」と言われて中断されたりなど、意外と古風なはぐらかし方が多くて、これが結構なストレスでした。
深読みしているわけでもないのに、いくつかの真相が簡単に読めてしまうのも物足りなかったです。
演出がドラマチックなので、余計に残念な気持ちに。

でも、最後には驚きました。
もう全っ然、気づきませんでしたよ。
伏線もバッチリだし、本当に見事なサプライズでした。

*ヒトコト(真相に触れています)
posted by May at 20:26| 綾辻行人

2010年01月05日

SOSの猿/伊坂幸太郎 ★★★☆☆


ひきこもりの青年の「悪魔祓い」を依頼された男と、一瞬にして300億円を損失した株誤発注事故の原因を調査する男。
そして、斉天大聖・孫悟空。
物語は、彼らがつくる。
伊坂幸太郎最新長編小説。(amazon内容紹介より)


<本当に悪いのは誰なんですかね。お師匠さま>

ううん・・・微妙・・・。

『あるキング』と同様、なかなか物語世界に馴染めなくて、最後まで違和感が残ったままでした。
主人公の悪魔祓いの設定もスッと入ってこない。
「因果関係」なんて伊坂さんが得意なテーマだからすっごく期待したのですが・・・。
そう考えると『ラッシュライフ』は面白かったなぁ。

posted by May at 13:17| 伊坂幸太郎

2009年12月22日

陰摩羅鬼の瑕/京極夏彦 ★★★☆☆


白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」は、主の五度目の婚礼を控えていた。過去の花嫁は何者かの手によって悉く初夜に命を奪われているという。
花嫁を守るよう依頼された探偵・榎木津礼二郎は、小説家・関口巽と館を訪れる。
ただ困惑する小説家をよそに、館の住人達の前で探偵は叫んだ。――おお、そこに人殺しがいる。(本書あらすじより)


<また妻を殺すのですね、あなた方は>

今回も最初の数行で持って行かれてしまいました。すごい世界観。
一つの事件をじっくり追うというストーリーのせいか、途中で真相が読めてしまい、驚きはもちろん哀しさや切なさがあまり感じられなかったのが残念。
とっても私好みの真相なのですがね〜。
posted by May at 12:47| 京極夏彦

2009年11月30日

新参者/東野圭吾 ★★★☆☆


日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。
「どうして、あんなにいい人が・・・」
周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。
着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。(「BOOK」データベースより)


<さすがに人情の町だ>

うんうん。面白かった〜。
殺人事件の捜査線上に浮かんだ人物にスポットを当て、それぞれのドラマを描いた連作短編集。
人間ドラマが一話完結なので油断するのか、連作だと解っていても別の章に伏線があるとドキッとします。
少しずつ、メインの殺人事件の真相に近づいていく展開も好みでした。
(最後の章は要らないかも。)
お気に入りは「瀬戸物屋の嫁」「洋菓子屋の店員」
優しさ溢れるエピソードに、「世の中捨てたもんじゃないよね」としみじみ感じさせられる一冊。
posted by May at 17:19| 東野圭吾

2009年11月10日

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。/辻村深月 ★★★☆☆


“30歳”という岐路の年齢に立つ、かつて幼馴染だった二人の女性。
都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。
少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。
あの“殺人事件”が起こるまでは・・・。(帯より)


<みずほちゃんのせいだった>

とっても切ない読後感。そしてタイトルが秀逸。

『太陽の坐る場所』と同じく、女性同士のドロドロとした心理描写がリアルです。
確かにあの頃は面倒臭かったなぁ〜とか思い出しながら読んでました。
主人公を含め、あまり好感を持てないタイプの人物が多く登場しますが、ラスト1ページでそれまで理解できなかったチエミの気持ちにハッとさせられました。
人の心は本当に複雑。

私は今回も何ひとつ真相が見抜けませんでした。
やっぱり辻村深月のサプライズは好みです。
でも、もう少し短くてもいいよね。
*ヒトコト(真相に触れています)
posted by May at 13:17| 辻村深月

2009年11月04日

初恋ソムリエ/初野晴 ★★★☆☆


廃部寸前の弱小吹奏楽部に所属する穂村チカと上条ハルタ。
吹奏楽部の甲子園「普門館」を目指して日々練習を重ねる二人に、難事件が?
話題作『退出ゲーム』待望の続編!(amazon内容紹介より)


<いまも自分たちの太陽の光を探している>

こちらも面白かったけれど、私は前作の方が笑えたなぁ。
日常の謎というよりも吹奏楽部の成長が軸となっていることを忘れていたので、一話目の「スプリングラフィ」にはガクッときました。
お気に入りは、真相に感動した「アスモデウスの視線」と謎が魅力的だった「初恋ソムリエ」
名越(演劇部)の出番がないことが密かにショックだったり。

初野さんの文章って今までもスラスラとは読めなかったけれど、今回はさらに時間がかかりました。
地の文を端折りすぎなのか、どうもイメージが掴みにくいのです。
真相には満足なのにスッキリしないのはそれが原因かな。
posted by May at 22:21| 初野晴